最近では便利なツールが増えてきました。iPhoneアプリもそのひとつです。
最近では便利なツールが増えてきました。iPhoneアプリもそのひとつです。
 例えば、みちくさ学会的なシーンでは、「今歩いている街の地図を指一本でiPhoneから呼び出し、GPSにより周辺情報を検索する事ができる」といった使い方が可能なので、単純なみちくさもデジタルツールの利用でより深く街を眺めることが出来るというワケです。

 そこで当みちくさ学会では、それら便利なデジタルツール、具体的には”みちくさに使えそうな”アプリなどを紹介し、使用感をレポートすることにしました。


iPhoneアプリ「TOKYO古地図」とは?


さて、今回は先ごろ発売された「TOKYO古地図 (※App Storeへ遷移します) ¥450」を紹介します。

開発元の紹介は次の通り。
「TOKYO古地図」は、江戸の歴史を古地図で巡るナビゲーションアプリです。
対象エリア内にいるときは、現在地が古地図上に表示されます。今いる場所と見比べることで江戸の情緒とその変化に触れることができます。
また散歩の合間に写真を残せる"あしあと帳"機能、地名や町名のルーツ、歴史をたどるガイド付き!
「TOKYO古地図」を持ち歩いて、江戸の町へタイムスリップしてみませんか?
※公式サイトより抜粋
 江戸の街を知ることで隠れた東京が見えてくる、といったコンセプトでしょう。「知れば風景が変わる!みちくさのヒント」を標榜する当みちくさ学会も勝手に親近感を感じてしまいます。

そんな「TOKYO古地図」の主な機能は次の通り。
古地図と連動するGPS機能
 GPSと連動し、現在地が古地図上に表示されます。
現在地から周辺スポットを閲覧可能
 現在地から「spot」ボタン選択すると幕府施設、寺院、大名屋敷、橋など、
 古地図を楽しむための代表的なエリアや、地名のルーツとなっているエリアを表示。
 ダブルタップ操作で、合計243箇所の周辺ガイドを閲覧できます。
※公式サイトより抜粋
 古地図を眺めるだけでも地図好きとしては楽しめてしまいますが、「TOKYO古地図」の真価は屋外で使ってみてこそ発揮されそうです。ということで、外に出てみました。

アプリを起動
まずはアプリを起動します。全面に古地図、下の方にはナビゲーションが並びます。

グングン拡大します
古地図をグングン拡大します。取り敢えず、当みちくさ学会を運営する株式会社ライブドアのある新宿周辺まで拡大しました。

古地図を見てなぜ新宿周辺だと分かるのかと言いますと、その理由はナビゲーションの「tokyo」ボタンにあります。これをタップ(指で押す)することで、現在の東京と比較して見ることが出来るのです。

ペラりと古地図がめくれ
ペラりと古地図がめくれて、東京が現れます。分かりやすいですね。現在地までフォーカスしたところで、ナビゲーションの「spot」をタップします。

「spot」をタップ
「spot」をタップすると、この様に現在位置周辺のspotが現れます。なるほど、で、これをもう一度タップすると・・・

spotの詳細
このようにspotの詳細を見ることが出来るというワケです。ほうほう。では、この「策の井」を探してみちくさしてみましょう。


旧跡を探してみよう

「探す」と言っても、そもそも現在位置から近いところあるspotを標的にしているわけですから、ある程度東西南北が分かればあとは周辺をキョロキョロと散歩するような間隔で見つかるでしょう。

新都心歩道橋
いつも通勤で利用している新都心歩道橋。どうやらこの東にあるようです。

新宿エルタワーと東京モード学園が並ぶ通り
おそらくこの辺りだろう、と覚しき新宿エルタワーと東京モード学園が並ぶ通り。「TOKYO古地図」によればこの辺りのはずですが・・・、場所は高層ビルが立ち並ぶオフィス街、それらしき史跡は見つかりません。

ここじゃないのかなぁ、ちょっと向こうも探してみよう、と横断歩道を渡ろうとしたその時。植え込みになんだか、怪しい影が!
「旧跡 策の井」

近づいてみると・・・、ありました!「旧跡 策の井」です。
「旧跡 策の井」

植え込みに建てられた石碑には、次のように彫られています。
都旧跡 策の井
当敷地内に在した「策の井」は江戸時代より名井として知られ、天和年間(一六八一~一六八三)に出版された戸田茂睡の紫の一木(むらさきのひともと)に「策の井は四谷伊賀の先にあり、いま尾張摂津下屋敷内にあり、東照公鷹野にならせられし時、ここに名水あるよしにきこし召し、おたづねなされ、水を召し上がられ、御鷹の策のよごれをお洗われたる故、この名ありという」と書かれている。この地は尾張摂津下屋敷であった所であり、また、享保年間(一七一六~一七三五)に出版された「江戸砂子」(えどすなご)という本にも同趣旨の文章が見られ「策之井」が名水とうたわれた。

と記されてありましたので、「東京古地図(iPhoneアプリ)」でもガイドされている通り、いい感じの水があると聞いた徳川家康が鷹狩りのついでに立ち寄ったという事のようですね。

いつも通勤に使っている道端にこんな石碑があったなんて、なんだか新鮮です。鷹狩りで訪れたということは、新宿駅周辺も江戸初期は野っ原だったということですよね。新たな発見でした。

ちなみに、「旧跡 策の井」を探す途中で見つけたのが、こちら。
淀橋浄水場跡の石碑
淀橋浄水場跡の石碑です。そうか、新宿区のその前は淀橋区だったんですもんね。(ヨドバシカメラの社名の由来も、かつて神田川に架かっていた淀橋からきているとか)そんな淀橋の浄水場がここにあった、というのもタナボタ的な発見でした。

「TOKYO古地図」の総評としては、「マルチタスクに対応していないのか、「TOKYO古地図」とカメラアプリを切り替えて使うと毎回再起動することになる」とか、これはGPSや利用しているGoogleMap側に理由があるのかも知れませんが「現在位置がちょっとズレる」など若干不都合な部分があるものの、それを補うだけの、江戸の街を知ることで隠れた東京が見えてくるといった“みちくさ的な楽しみ”を味わうことの出来る楽しいアプリだと感じました。


・「TOKYO古地図 - bolaboLab」(※App Storeへ遷移します)
・公式サイトボラボラボ TOKYO古地図