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ひとたび視点を変えて坂道を眺めてみると街の違った風景が見えてきます。

きょろきょろしてみよう


坂道、というとしんどくて歩くだけでも気苦労が多く、雨の日はころびそうで危ないし、一昔前なら坂道発進でエンストしてちょっとへこんでみたりと、そんなことを想像してしまう方も多いのかもしれませんけど、ひとたび視点を変えて坂を眺めてみると街の違った風景が見えてきておもしろいんです。

まずトップの写真を見てください。港区で見つけたとある坂道の風景です。ご覧のとおり、かなりの急勾配の坂道です。(まわりの建物と高さ比べしてみるとわかりやすいです)。
そして、この坂道の所在地は東京都港区六本木、わかりやすくいえば六本木ヒルズにほど近い場所にあります。六本木の繁華街から徒歩数分の場所にこんな急勾配で長い坂道があるということ自体が驚きなんですけど、それに加えて道沿いを木々におおわれた閑静なたたずまいの場所があるというのは、なにか異次元の世界に迷いこんだような気分におちいるほどで、そのゾッとするほどの変化がおもしろいかもしれません。

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そして、今回の坂道をてくてく歩いていると、途中に写真のような木製の立派な案内板が設置してあるのを発見しました。なので、この坂道は「鳥居坂」とよぶそうです。(後で調べたところによると、別名で鳥井坂ともいうそうです。)
写真では、ちょっと見にくいかもしれませんので案内板の文章を引用すると“とりいざか 江戸時代のなかばまで、坂の東側に大名鳥居家の屋敷があった。元禄年間(一六八八~一七〇三)ごろ開かれた道である。”と書かれてありました。詳しい史実については置いておくとしても、この鳥居坂は1700年(約310年前ですね)にはすでにあったということですから、これまた驚きという感じです。

このように、都内には名前のつけられている坂道がほかにも700以上あり、そのうちの7割ほどがすでに江戸時代につけられたということだそうで、坂道周辺にはまだまだ僕たちが知らない歴史や物語が埋れているのかもしれません。

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また、坂道歩きをしながら、周辺の景色をぼんやりと眺めるのも坂道散歩の醍醐味のひとつといえるのかもしれないですね。
写真は、坂下の鳥居坂下交差点あたりから、六本木ヒルズのほうを眺めたものです。坂上あたりの落ち着いたたたずまいとは対照的といっていいくらいの近未来的な風景がひろがり、遠目には六本木ヒルズのあの銀色の高層ビルなどがど~んと見えていました。

うまくはいえないですけど、坂道散歩のときは恥ずかしがらず(笑)、まわりをきょろきょろしながらいろんなものを観察してみると、これまたおもしろい発見がいくつも見えてきたりしますので、このキョロキョロを忘れないでくださいね。





  • 雲本らて

  • 東京坂道さんぽ

  • 1973年7月、兵庫県(というか神戸)生まれ、♂(男性です)。世田谷区在住。
    現在は「東京坂道さんぽ」というブログを運営しながら、坂道観察などを続けています。