日本独自風景としての換気口
みちくさ学会では、講師陣に参考情報として各記事のアクセス数が発表されるのだが、先日9月の実績が発表され、拙記事「ラブホテルと換気口の意外な関係」が月間1位となったらしい。
換気口鑑賞の魅力が徐々に巷に浸透してきたと思いたいのだが、2、3ヶ月前の1位も別な講師の方のラブホテル関係の記事だったので「ラブホテル」というワードに反応されたのだと思う。
熱いぞラブホテル。すごいぞラブホテル。今後「ラブホテルと井戸」「ラブホテルとトマソン」などのタイトルの記事が出たら狙ってるなと思っていただきたい。

ということで今回もラブホテルの話をしたかったが(あるいはタイトルだけでも「ラブホテル」を入れたかったが)、怒られそうなので別な話を。

私は旅行でも仕事でも海外に行くと時間があれば街を1人でブラブラ歩くのが好きなのだが、海外において日本のような換気口風景が存在するかというとそうではない。

おそらく法律で定められた換気の基準が異なるからであろうが、日本でいう換気口自体がほとんど存在しない。手ごろな高さのビルを見かけてもそこにプチプチと壁面に張り付く換気口の姿はなく、殺風景な壁が広がるか窓があるだけだ。
台湾や中国あたりでは、部屋の外にエアコンの室外機がはみ出した風景はよく見られるのだが(これも嫌いではないが)あの見慣れた換気口はどこにも見当たらない。

また換気口には付き物のコインパーキングが少ない。
日本から進出している業者もいるように決して無いわけではないのだが、日本のようにむやみやたらに存在するわけではない。まあコインパーキングがあって、壁面が見られたとしても換気口はないんだけれど。

容積率の規制や高さ規制の関係など法律上の制約、あるいは地震の多さなど環境面の条件。建物は自由に発展しているようで、いろんな前提のもとに形を決められていく。

もしかしたらこれから法律が変わったり気候が変わったりすることで、今のような日本独自の換気口スタイルはなくなってしまうかもしれない。そうなったときに悔やまぬよう私は写真を撮っている。

里山の景色を守る気持ちで、換気口を撮る。そんな人間がひとりくらいいてもいい。たぶん。

日本独自風景としての換気口




  • 前川ヤス

  • がらり~換気口鑑賞団 

  • 1972年生まれ北海道出身。2007年春頃、電車の車窓から見える換気口配列の美に魅せられ、「日本に一人しかいない趣味(タモリさん認定)」換気口鑑賞を始める。一児の父。