喫茶店は、ほっと一息ついて、美味しい珈琲と、おなかが空いていたらナポリタンやサンドイッチ、トーストなどを食べつつ、つかの間のひとときを楽しむ場所。
問題は、初めて入る喫茶店の場合、入ってみないとそこが居心地がよいか、珈琲が美味しいか、一生懸命営業しているか、空気がよどんでいないか(=人の出入りがあるか)、自分好みの店か、確かめられない点だ。
疲れていてどうしてもリラックスできる場所がいいとか、又今すぐ美味しい珈琲が飲みたくて仕方ないというときには、初めて入る店というのは結構な賭けだったりする。
私はマメな性格ではないし数は重要ではないと思っているので、自分がこれまでに何軒くらいの喫茶店に入ったのか数えていないのだが、気になる店には遅かれ早かれ入る。当然失敗も多い。
お湯のように薄い珈琲を飲んだのは国立での出来事、豪徳寺では玉葱の腐ったナポリタンを出されたこともあった。学芸大学ではカウンターにひからびた食べかけの蕎麦が置いてあり、店の端っこには私物が山積みで店主は猫にぶつぶつと話しかけていたり。ふつう、コーヒー代を支払って経験するようなことではない。他にも、喫茶店に関しての失敗は挙げたらキリがない。
とにかく、渋い佇まいの店は危険と隣り合わせとは言い過ぎかもしれないが、あまり快くない経験をしてしまう可能性もありだ。
そして、ここを写真に撮りたいなぁと強く思わせる魅力的な店はえてして外からよく見えなかったりする。
正確に言うとよく見えないというより、外の世界を遮断しているかのような拒絶感すらある。
それでも、佇まいのいい喫茶店には入る。
なぜなら、そこがすごくいい店かもしれないからだ。
だから私はそういう失敗もひっくるめて、喫茶店に入る楽しみだと思っている。
喫茶店に限ったことではない、自分で確かめないと、本当のことはわからない。
この店の場合も外からよく見えなくて、おそるおそる入った店。中に広がる空間は外観からは想像のつかない素敵さで、一目で虜に。ここを写真に撮りたい!そう強く思った場所だ。
なんとなく、1日も早いほうがよい気がして、その場で撮らせてもらった記憶がある。
珈琲エノモトはミルクホールとして始まって、時代の流れとともに昭和30年頃、現在の屋号に変えて営業を続けている。創業は正確にはいつかよくわからないそう。わからないといっても、50年以上経っているのは間違いない。
店主の榎本さんは二代目。息子はサラリーマンになったから、ここももうそんなに長くは続けられないよという。私が初めて店に入ってからは数年が経っていて、現在も変わらず営業を続けているが、最初の「一日も早く写真に」と思ったのは、甚だ間違った感覚でもなかった。
窓際、レースのカーテンがかわいらしくて、ここではコーヒーフロートが撮りたいと思った。
余談になるが、浅草には結構たくさん長年営業している喫茶店がある。
他にもご紹介したい浅草の大好きな喫茶店はいくつかあるのだが、そのうちのひとつへは来年の年の始めに行こうと思っているので、1月か2月にはまた浅草の喫茶店をご紹介できたらと思う。
●珈琲エノモト
台東区西浅草2-25-11
03-3841-6594
地下鉄田原町駅より徒歩6分
8:00~21:00
不定休
ブレンドコーヒー430円
コーヒーフロート550円
疲れていてどうしてもリラックスできる場所がいいとか、又今すぐ美味しい珈琲が飲みたくて仕方ないというときには、初めて入る店というのは結構な賭けだったりする。
私はマメな性格ではないし数は重要ではないと思っているので、自分がこれまでに何軒くらいの喫茶店に入ったのか数えていないのだが、気になる店には遅かれ早かれ入る。当然失敗も多い。
お湯のように薄い珈琲を飲んだのは国立での出来事、豪徳寺では玉葱の腐ったナポリタンを出されたこともあった。学芸大学ではカウンターにひからびた食べかけの蕎麦が置いてあり、店の端っこには私物が山積みで店主は猫にぶつぶつと話しかけていたり。ふつう、コーヒー代を支払って経験するようなことではない。他にも、喫茶店に関しての失敗は挙げたらキリがない。
とにかく、渋い佇まいの店は危険と隣り合わせとは言い過ぎかもしれないが、あまり快くない経験をしてしまう可能性もありだ。
そして、ここを写真に撮りたいなぁと強く思わせる魅力的な店はえてして外からよく見えなかったりする。
正確に言うとよく見えないというより、外の世界を遮断しているかのような拒絶感すらある。
それでも、佇まいのいい喫茶店には入る。
なぜなら、そこがすごくいい店かもしれないからだ。
だから私はそういう失敗もひっくるめて、喫茶店に入る楽しみだと思っている。
喫茶店に限ったことではない、自分で確かめないと、本当のことはわからない。
この店の場合も外からよく見えなくて、おそるおそる入った店。中に広がる空間は外観からは想像のつかない素敵さで、一目で虜に。ここを写真に撮りたい!そう強く思った場所だ。
なんとなく、1日も早いほうがよい気がして、その場で撮らせてもらった記憶がある。
珈琲エノモトはミルクホールとして始まって、時代の流れとともに昭和30年頃、現在の屋号に変えて営業を続けている。創業は正確にはいつかよくわからないそう。わからないといっても、50年以上経っているのは間違いない。
店主の榎本さんは二代目。息子はサラリーマンになったから、ここももうそんなに長くは続けられないよという。私が初めて店に入ってからは数年が経っていて、現在も変わらず営業を続けているが、最初の「一日も早く写真に」と思ったのは、甚だ間違った感覚でもなかった。
窓際、レースのカーテンがかわいらしくて、ここではコーヒーフロートが撮りたいと思った。
余談になるが、浅草には結構たくさん長年営業している喫茶店がある。
他にもご紹介したい浅草の大好きな喫茶店はいくつかあるのだが、そのうちのひとつへは来年の年の始めに行こうと思っているので、1月か2月にはまた浅草の喫茶店をご紹介できたらと思う。
●珈琲エノモト
台東区西浅草2-25-11
03-3841-6594
地下鉄田原町駅より徒歩6分
8:00~21:00
不定休
ブレンドコーヒー430円
コーヒーフロート550円
- 塩沢 槙(しおざわ まき)
- http://www.makishiozawaphotography.com
- 塩沢槙 写真執筆事務所ブログ
- 撮影業・執筆業。1975年生まれ、東京都出身。1999年~2000年ロンドンへ留学。帰国後、大学在学中より仕事を始める。近年は東京の街や文化、日々の生活・暮らしに特に興味を持ち、書籍の制作を中心に活動中。2007年『東京プチ・ヒーリング』、2009年『東京ノスタルジック喫茶店』、2010年
『東京・横浜 リトル・カフェ物語』を河出書房新社より上梓。2011年7月、撮影・執
筆共に手がけた著書4冊目となる『東京ノスタルジック喫茶店2--郷愁の喫茶を訪ね
て』が河出書房新社より発売になり、好評発売中。