街角の景色として銭湯を観賞
銭湯をみちくさの中でたのしむ方法として、街角の景色として銭湯を観賞してみるという手段もあります。
今日は寒いからやめよう、とか風呂道具を持っていなかった、とか体調が、など色々な理由で銭湯に入れない時も多々ありますよね。
こういう時は素通りせずに景色として眺めてみるという楽しみ方もあるわけです。

入口に暖簾が掛かり、夕方薄暗くなって灯が点る頃合いの黄昏の時間の銭湯の風景というのはとても風情があるものです。
早風呂に入って上がったお爺さんと自転車でやって来た近くの商店の旦那風の人が挨拶してすれ違って行ったり、湯上りの子供が外の販売機でジュースを迷っていたり、そんなローカルな風景と辺りの街並みの風景にとけこんだひとコマを眺めるのもよいものです。

上の写真は鶴の湯(東京都世田谷区若林4-20-15)、松陰神社前駅近くの路地裏にある銭湯。
薄暗くなってきた路地裏で銭湯の行燈看板に灯が入り、入口の暖簾が照明に浮き出たように鮮やかに見えています。
すぐ近くに世田谷線の踏切があって時々警報機の音とともに遮断機がおりて電車が通過してゆきます。

夕刻に訪れた蒲田の末広湯
夕刻に訪れた蒲田の末広湯(東京都大田区南蒲田2-10-13)。
立派な唐破風と千鳥破風の二重屋根の昔ながらの銭湯、煙突からは煙が上がっている姿が黄昏時の残照に染まっています。
同湯横の路地をつたって訪れた時は石鹸の混じった湯の流れる匂いが立ち上っていました。

中野の駅近くのレトロ銭湯
中野の駅近くのレトロ銭湯、天神湯(東京都中野区中野5-10-10)。
夕方の空にそそり立つ煙突と大型の伝統的な東京銭湯の建物のシルエット。
釜場の近くを通ると薪を燃すパチパチとした音と匂いがしたりして、路地を横にまわって見るのもなかなか楽しい。

雨降りの夕方の銭湯
雨降りの夕方の銭湯も情緒があります。
曙湯(東京都台東区浅草4-17-1)。
季節になると建物を覆う藤棚が見事な同湯ですが、夕方の雨に滲む照明の風景もなかなかのものです。
立派な塀に囲まれたエントランスの上には見事な懸魚が掛かっています。

タカラ湯
やがて夜、完全に暗くなると照明に浮かび上がる銭湯の姿もまた良いものです。
暗い路地裏を歩いてゆくと向かう先に見えてくる明るい銭湯の灯。
これがなんともあたたかく見え、寒い日などはオアシスのように感じられます。
上の写真はタカラ湯(東京都足立区千住元町27-1)、お庭が立派なお風呂屋さんです。
入口の上に掛かる見事な木製彫刻の装飾も忘れず観賞しましょう。

東京浴場
こちらは東京浴場(東京都品川区大井2-22-16)。
夜の闇に映える堂々とした寺社風建築の銭湯、煌々と光る照明がそこだけなんとも豪華な雰囲気を放っています。
浴室の白塗りの格天井に所々描かれた花鳥図も脱衣場の明かりに照らされて外から望むことが出来ます。
やはり銭湯は現代のオアシス、この世の極楽なのでしょうか?

第二香藤湯
こちらは第二香藤湯(東京都墨田区押上3-41-1)。
狭い路地裏にあってあまり人通りも多くない同湯前、そんなに遅くない時間帯だというのに既に深夜を想わせる雰囲気が漂っています。
入口に自販機が置かれていないのでかなりのレトロ感があじわえます。


銭湯は入ればそれだけ色々たのしむ事ができますが、時には街角の中にとけ込む風景としての銭湯を見て歩くのも良いのではないでしょうか?


そして銭湯に入った方、出て来た時には振り返ってこんな風景を見るのもお忘れなく。







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  • 銭湯と路地裏散歩な日々

  • 銭湯wiki

  • 1960年、東京生まれ埼玉育ち。現在は神奈川県藤沢市に在住。小さい頃は風呂屋のペンキ絵が描きかえられるのを心待ちにしていた子供でした。

  • 現在は路地裏散歩と居酒屋徘徊を趣味としており、産業遺産ならぬ生活遺産に興味を抱き銭湯や古建物などを見て巡っております。

  • 座右の銘は遠い温泉より近くの銭湯、かな。