株式会社 東京地図研究社
 “みちくさ”と関連の深い企業を訪問し、みちくさのセンスを磨こうというレポート記事企画みちくさ学会的会社訪問。前回に引き続き、今回も地図業界の縁の下の力持ち「東京地図研究社」を紹介します。

アナログからデジタルまで、職人が居並ぶ


 東京地図研究社の執務フロア。社内ではおよそ30~40名ほどのスタッフが、設計、企画、編集、製図、デザインなど持ち場に分かれ業務に当たっているようです。

ベテランの雰囲気をまとった方
 まずはこちら社内でも“職人系”と呼ばれる方々が鎮座するスペースをご紹介、ベテランの雰囲気をまとった方が地図を真剣な眼差しで見つめています。

パソコンの画面上で地図を修正
 こちらはパソコンの画面上で地図を修正している様子。画面に映る線の1本1本が道になる訳ですね。「この辺からデジタル化というか、鉛筆がマウスに変わっていくところです」と、社内を案内していただいた同社取締役の石川さんに解説していただきました。

3D地図(鳥瞰図)
 こちらは、グーグルアースを想像してもらうと分かりやすいでしょうか、3D地図(鳥瞰図)ですね。

地球儀に座標をマッピング
 地球儀に座標をマッピングし、そこに高さを計算して高低を出したり、川や道路のレイヤーを載せたりと、2Dの地図と比べより立体感を感じることができます。

 さて、3Dの話が出てきたところで紹介したいのが、こちらのコクピットの様な一画。航空写真を3D的に見て地図に落としこんでゆく作業の最中です。
 単純に真上から撮った写真があればそれを地図に落としこむのは原理的に出来ることなのだそうですが、とは言え写真ではカメラレンズの影響から周辺が歪んでしまい、正確さに欠けるようです。そこで、航空写真を3D的に見て補正し、建物の高さや道路の幅などを修正していくということでした。
建物の高さや道路の幅などを修正


近づくとこんな感じ
 ぐん、と近づくとこんな感じです。実際の作業は特殊なメガネをかけつつ行います。

3Dシアター鑑賞中のような姿
 こんな感じ。3Dシアター鑑賞中のような姿ですが、こうして地図を作っているのだと思うと面白いですね。

会社内を案内していただいた石川さんの座席
 さてこちらは、会社内を案内していただいた石川さんの座席。「最近は、なかなかやらせてもらえないんですが・・・」と言いながらも、もともと技術畑の出身であるという石川さんは新規事業開発にも余念がないようです。
 今現在は九州エリアをサンプルにして、地形の傾斜角度を地図に落とし込んでいるとか。標高データを使って傾斜角の分布データを割り出し、次の地図ソリューションへ繋げることが出来ないか模索中とのことです。
 地域によって異なる傾斜の分布が、居住空間とどうつながるのかなど割り出したいと話していました。

 みちくさ学会的会社訪問はいかがでしたでしょうか。利用することも多く身近にありながら、その製作現場、どのようにして作られているのかは余り目にすることのない地図ですが、今回のレポートで多くの人が関わり、細やかな作業の積み重ねによって作られていることが分かったのではないでしょうか。
 これからも、みちくさと関連の深い企業をレポートしていきます。

■取材強力
 ・みちくさ学会的企業訪問「株式会社 東京地図研究社」(前編)
 ・株式会社 東京地図研究社 企業サイト