『子守は遂行する』『みちくさもする』
「両方」やらなくっちゃあならないってのが「パパ」のつらいところだな。
覚悟はいいか?俺はできてる。
こんにちは、井戸の柏崎です。
土日はいつも、もうすぐ4歳になる私の子から『動物園!動物園!』とせがまれ、妻からは『掃除の邪魔だから外に出ててと言われ』結果的に、動物園やら博物館に連れて行くのが日課の私ですが、隙あらば道草してやろうといつも心がけております。
何やらみちくさに対してずいぶん気負っている感じですが、実はそんなことも無く、ただぶらぶらと自転車で街を走っていくだけ。
それだけなのですが、毎回毎回、今まで見たことが無い風景や面白いものに出会えるんですよね。これが。
コツは何かと聞かれれば・・・
ひとつ『最短距離を通るのではなく、時間が許す限り遠回りをする。』
ふたつ『知っている道ではなく、できるだけ知らない道を通る』
みっつ『前ばかり見てないで、よそ見をする』
って事ですかねぇ。
特に大事なのは「よそ見」です。
これは、路上観察系を趣味としている人間からすると常識なのでしょうが、外部の人間から見るとまさに不審者。
基本的にまっすぐ前を見ていることが無く、前後左右に視線を送り「空、雲。木、壁、坂の上、坂の下。二階のひさし、雨樋。屋根の上。薄暗い路地。地面。コケ。錆びたモノ、さびれた建物・・・」等々、とにかく、あらゆるモノを『観る』んです。
まだまだ私ごときでは修行が足りませんが、上の3つの事を心がけてればさまざまな物に出会えるので皆さんもぜひやってみてください。
これは息子を病院に連れて行きがてら見つけた赤いポンプ!
ロケタッチではこちら
これは、日暮里駅前の足元がスゴイことになっている木!ロケタッチではこちら | こちらは、日本一電車が通る 下御陰殿橋!ロケタッチではこちら |
谷中と言えば 坂が多いので下に列挙してみます。
・あかぢ坂
・三浦坂
・真島坂
・もみじ坂
・三崎坂
・御陰殿坂
・蛍坂
谷中を山の上と下を縫うように歩くと必ず上記の坂のいずれかを通ることになります。その際には必ず『どんな名前の坂だろう?』と調べながら歩いてみてください。あかぢ坂の由来なんて面白いですよ?
どうやら、このあたり一帯に屋敷を構えていた渡辺財閥の当主明石屋治右衛門の名前を取って明治(あかぢ)坂と呼ばれていたそうですが昭和2年の金融恐慌で渡辺銀行は破綻。
谷中界隈でも渡辺銀行の破綻によって損害を受けた人が多数いたそうで、誰が呼ぶとも無く「明治(あかぢ)じゃなく赤字(あかじ)坂や」と言ったとか言ってないとか。
谷中は武蔵野台地のヘリですので、坂を求めて歩いていくと、ほかにも面白いものが見つかりますよ!
谷中の寺町を歩いていると、正面にあるのはヒマラヤ杉。保護指定を受けている樹木。
もやはランドマーク。ヒマラヤスギの下のお店は「みかどパン店」これもレトロで美しいたたずまいなのでぜひよろう。
ヒマラヤスギでY字に分かれた道を右に入る。だって、右が台地のヘリだからね。
路地に子供が描いたであろう蝋石の跡があった。
東京が忘れかけた昭和の風景。
線路が書いてあるので、無論のって歩く。ガッシュガッシュ・・・・!
道の先に大きな木。その向こうは階段・・・。
やっほう!階段!
出身が坂が無い街だったもので、階段とか坂とか妙に惹かれてしまうのはショウガナイのだ。
急な階段。降りながら見上げて写真をとる。
階段を降り切ってみると・・・・
何という事でしょう。
そこには、きれいな井戸小屋が・・・!(ごめんね。前回も登場させた井戸です。お気に入りなので勘弁・・・)
なんてこった!一日で坂も、井戸もじゃ贅沢すぎだぜ!
このあたりは、谷中と言い、東京区部では特に昔の街並みが残る地域ですが、井戸小屋つきの井戸ポンプは貴重です。
この井戸は、写真をよく見ていただけると分かりますが、背景に崖を背負っており、台地から平地へのまさに「ハケ」に位置する井戸です。きれいな水が出そうですね。
※「ハケ」とは「水捌け」の「捌け」であり。台地の上に降った崖下から染み出すことから「ハケ」と呼ばれるようになったと思われます。
「谷中」という地名は、は武蔵野台地の東のはずれ、上野台地と本郷台地のハザマの「谷の中」という意味なんですよ。 谷の下にはもちろん川がありました。かつては藍染川が流れていた地域。 今は「暗渠」になっている。「蛇行する暗渠」でも紹介されている暗渠の「へび道」を形作っている川です。 右写真のくねくねと蛇行している道がへび道です。 |
そうそう、へび道の近くには・・・古い作りの質屋さん(サイタ質屋)があって、
そこの暖簾の向こうには
こんな感じの井戸ポンプがあります。
なかなか都内では板塀ってのも見れないので、かなりレアな井戸ポンプロケーションだと思います。この写真を撮影した日は、雪も降ってたのでまさに、千載一遇のチャンスだったのでしょうね!まるで京都みたいな風情がある井戸でした。
とまあ、こんな感じで井戸を中心にみちくさを堪能したところで、動物園に行ったりするのです。
これで大体30~40分。
結構、路上観察ってのは、「路上観察だけを目的」にするとつらい物があったりしますが
子守のついでにみちくさがてら・・・ ってな感じだと割と時間も取らず
ほどほどで切り上げられるので良いのかも知れません。
みなさまも、「何かのついでにみちくさ」どうですか?
※TOPの写真は不忍の池に架かる天龍橋
- 井戸人_柏崎哲生
- 井戸人別館【東京翠影】
- 1976年生まれ 地元の裏道にて井戸ポンプを発見し、その魅力に取り付かれる。
・■_nendonさんのステータス - ロケタッチ