こんにちは、普段観光社の吉永です。
今回からステキな京都のダンメンを紹介していきますのでよろしくお願いいたします。
さて、まずはダンメンって何だってことですよね。例えばダンメンはこんなプロセスで作られます。
プロセス

連続した町家の一部が壊されるとそこに町家の切断面が現れます。切ったままだと雨水が入ってくるので補修をするわけですが、そこには突拍子もないシルエットや思いがけない仕上げ、そして通りからはうかがい知れない町家の裏の様子が現れます。わたしはこの町家の切り口をダンメンと名付け、写真アーカイブの作成、研究、観察を続けています。

その面白さについて他の例でさらに詳しく解説しましょう。
町家というと伝統的な日本の家。日本の家といえば切妻屋根、と単純に行かないのがダンメンの面白いところ。町家それぞれの事情が反映されてさまざまなシルエットが現れています。
シルエット

ダンメンの補修はチープなマテリアル(仕上げ)が多く、そのラフな表情も味わい深い。マテリアルのチョイスに補修したひとの人間性や懐具合がにじみ出るところが興味深い。
マテリアル

そして町家をめぐる複雑な事情の変遷が地層のようにシルエットとマテリアルのパッチワークとなってダンメンに現れてくる。
S002下京仏光寺1

また、うなぎの寝床との異名を持つ町家の跡地は非常に細長くておもしろい。ほとんどは駐車場として使われているけど細長すぎてもてあまし気味のところも。
N110中京岩上

さらにその造形から見えてくるのは町家の裏側だけではありません。京都人気質の裏側も見て取ることができます。例えばこのダンメン。
P130下京堀川A

印の位置の右側は塗装を塗った状態、左側はほとんど塗っていない状態。この画像にもと建っていたであろう町家の形を重ねると…
P130下京堀川B

ちょうど印の位置が隠れる。つまり、外からよく見えるところだけ色を塗ったのではないか…と、京都人の合理性がここに垣間見えるわけです。

このようにダンメンには神社仏閣や伝統的町並みからはうかがい知れない素の京都の姿がCTスキャンのごとく映し出されています。男が背中で人生を語るように、町家はダンメンで京都を語る。「キョート*ダンメンガイド」ではそんな京都のダンメンの名作を紹介、解説していきます。お付き合いのほどを。明日から京都の見方が変わります。