古い街並みをあちらこちらみちくさしながら最後に銭湯にたどり着く。
今回は神奈川県の城下町として知られる小田原を歩いてきました。
小田原は東京からJR東海道線、小田急線のいずれでもアクセスしている都内からもとても行き易い地であります。
また、東海道新幹線の駅もあって地方からのアクセスもよい土地と言えます。
しかし箱根を控えた同地は観光地としての知名度はイマイチなようで観光案内の方も「小田原城、小田原提灯、かまぼこの他は知らない」といわれてしまうそうです。
しかし小田原は歴史ある街ですから歩いてみるとなかなか趣きのある街並みが残っていてみちくさ散歩としては充分に楽しめる土地であります。
国道一号線沿いの商家「古田商店」。
こちらは建物左側が純和風、右手の商店部分は洋風に模したデザインになっています。
銅版製の屋根が見事で一階部分の張り出し上にバルコニー状に手摺りが施されています。
建築は大正末期とのこと。
ここから海側に少し入ると閑静な住宅街が広がります。
中ほどに西海小路という通りがあり、桜の時期には見事な桜のトンネルとなります。
このあたりには小田原文学館として洋館や純和風家屋なども公開されています。
さて、国道一号線沿いにもどると古い佇まいの薬局があります。
済生堂小西薬局本店(神奈川県小田原市本町4-2-48)
ここは江戸期創業の薬店、現在の建物は関東大震災で倒壊した後に旧資材を利用して大正14年頃に再建された建物です。
実際に今も営業されている店舗ですが、訪れる人には「街かど博物館」として内部を公開しています。
店内は昔ながらの木造の薬棚の引き出しが並ぶ姿が見事です。
小田原にはこのような「街かど博物館」が各業種18軒ほど点在しており見学が可能です。
さて、街をぶらぶらしているとこんなものも発見。
無用窓?トマソンか?
鉄で塞がれた窓にご丁寧に庇が取り付けられている。
しかし近づいて良く見ると金属蓋に蝶番が付いている。
しかも左下の窓は少しだけ開き加減、う~ん、未成トマソン。
もう少し市内を歩くと今度はこんなバス停(群)が。
重なってますねぇ~広小路。
高さを調整したかのように見事な階段状。
「オレもまぜてくれぇ」という感じで消火栓看板が脇から顔をのぞかせています(笑)
そして今回の最終目的地の銭湯「田浦湯」(神奈川県小田原市扇町1-15-9)
「田浦湯」入口(この写真のみ撮影は11月)
同湯は普通の町屋を思わせる造りの小型銭湯、入口の暖簾の上には屋号の入った小さな行灯看板が掛けられていて、その後ろには装飾として色ガラスがはめ込まれています。
右側にも温泉マークと田浦湯の文字入りの青い電飾行灯がありました。
暖簾を挟んで両側に引き戸があり、右手扉が男湯、左は女湯になっています。
引き戸を開けると小さいタタキの靴脱ぎになっていて、靴は番台下か外壁側の棚にしまいます。
料金は神奈川県標準料金の450円より50円安い400円。
脱衣場は奥行き3mくらいしかない小さい造りですが、木製のレトロな空間はきれいに保たれています。
右手に棚が造り付けられていて、脱衣カゴを収納するようになっています。
右手奥の自宅側との境にも板の間があり、脱衣場として使われています。
さて浴室。
木製のカラカラと開くガラス戸を開けて中へ入ります。
浴室は奥壁に神奈川の絵師による富士山と湖、水車小屋のペンキ絵があります。女湯側もチラッと富士山の頂上付近が見えましたから同じような図案になっているようです。
両側に富士山の絵があるのは珍しいです。
その下は鈴栄堂製の鯉6匹と和金4匹の泳ぐ構図になった浴槽と同じ幅の横長のタイル絵になっています。
その下は浴槽になっており、小さいながらも2槽に分かれています。
左2/3が深い浴槽で右がその半分、1/3位の広さの浅い浴槽です。
湯は42℃~44℃といったところで良い感じです。
カランは左右両壁に各4基、左が湯のカランで昔ながらの真鍮製で「湯」の文字の取手を押す最近ではあまり見かけない旧型のもの、右の水の方はひとまわり小さく水色のプラスチック製の丸い取手になっています。
天井と壁はブルーのペンキ塗りで真ん中に四角い湯気抜きが立ち上がっています。
床は六角形の白いタイルが敷き詰められた古い造りですが清潔に保たれています。
相客は常に3~4人、あまり多くはありませんが次々に客はやって来ます。
地元人たちが「久しぶり」「おう」などと声を交わしている地元現役系の銭湯です。
湯上がりのひと休みにご主人にペンキ絵のことをお聞きしたら、前は五年ごとにペンキ絵は描き変えていたけれど、ということでした。
描き換えの時は絵師が2人で来て半日で仕上げていったそうです。
北鎌倉の新世美術が廃棄してしまって10年描き換えておらず「ほんとは描き換えたいんだけど誰か描ける人はいないかねぇ」と仰っていました。
因みに同湯は今年で創業から82年、タイル絵などのタイルまわりを中普請して今の形にしたのが昭和34年、今から51年前だということです。
脱衣場も浴室も小型のミニ銭湯、どこかの温泉の共同浴場のような雰囲気も感じられる昔ながらの銭湯です。
今回もみちくさの最後の銭湯、とってもよい湯なのでした。
田浦湯
神奈川県小田原市扇町1-15-9
営業時間 15:30~22:00 定休日 土曜日
また、東海道新幹線の駅もあって地方からのアクセスもよい土地と言えます。
しかし箱根を控えた同地は観光地としての知名度はイマイチなようで観光案内の方も「小田原城、小田原提灯、かまぼこの他は知らない」といわれてしまうそうです。
しかし小田原は歴史ある街ですから歩いてみるとなかなか趣きのある街並みが残っていてみちくさ散歩としては充分に楽しめる土地であります。
国道一号線沿いの商家「古田商店」。
こちらは建物左側が純和風、右手の商店部分は洋風に模したデザインになっています。
銅版製の屋根が見事で一階部分の張り出し上にバルコニー状に手摺りが施されています。
建築は大正末期とのこと。
ここから海側に少し入ると閑静な住宅街が広がります。
中ほどに西海小路という通りがあり、桜の時期には見事な桜のトンネルとなります。
このあたりには小田原文学館として洋館や純和風家屋なども公開されています。
さて、国道一号線沿いにもどると古い佇まいの薬局があります。
済生堂小西薬局本店(神奈川県小田原市本町4-2-48)
ここは江戸期創業の薬店、現在の建物は関東大震災で倒壊した後に旧資材を利用して大正14年頃に再建された建物です。
実際に今も営業されている店舗ですが、訪れる人には「街かど博物館」として内部を公開しています。
店内は昔ながらの木造の薬棚の引き出しが並ぶ姿が見事です。
小田原にはこのような「街かど博物館」が各業種18軒ほど点在しており見学が可能です。
さて、街をぶらぶらしているとこんなものも発見。
無用窓?トマソンか?
鉄で塞がれた窓にご丁寧に庇が取り付けられている。
しかし近づいて良く見ると金属蓋に蝶番が付いている。
しかも左下の窓は少しだけ開き加減、う~ん、未成トマソン。
もう少し市内を歩くと今度はこんなバス停(群)が。
重なってますねぇ~広小路。
高さを調整したかのように見事な階段状。
「オレもまぜてくれぇ」という感じで消火栓看板が脇から顔をのぞかせています(笑)
そして今回の最終目的地の銭湯「田浦湯」(神奈川県小田原市扇町1-15-9)
「田浦湯」入口(この写真のみ撮影は11月)
同湯は普通の町屋を思わせる造りの小型銭湯、入口の暖簾の上には屋号の入った小さな行灯看板が掛けられていて、その後ろには装飾として色ガラスがはめ込まれています。
右側にも温泉マークと田浦湯の文字入りの青い電飾行灯がありました。
暖簾を挟んで両側に引き戸があり、右手扉が男湯、左は女湯になっています。
引き戸を開けると小さいタタキの靴脱ぎになっていて、靴は番台下か外壁側の棚にしまいます。
料金は神奈川県標準料金の450円より50円安い400円。
脱衣場は奥行き3mくらいしかない小さい造りですが、木製のレトロな空間はきれいに保たれています。
右手に棚が造り付けられていて、脱衣カゴを収納するようになっています。
右手奥の自宅側との境にも板の間があり、脱衣場として使われています。
さて浴室。
木製のカラカラと開くガラス戸を開けて中へ入ります。
浴室は奥壁に神奈川の絵師による富士山と湖、水車小屋のペンキ絵があります。女湯側もチラッと富士山の頂上付近が見えましたから同じような図案になっているようです。
両側に富士山の絵があるのは珍しいです。
その下は鈴栄堂製の鯉6匹と和金4匹の泳ぐ構図になった浴槽と同じ幅の横長のタイル絵になっています。
その下は浴槽になっており、小さいながらも2槽に分かれています。
左2/3が深い浴槽で右がその半分、1/3位の広さの浅い浴槽です。
湯は42℃~44℃といったところで良い感じです。
カランは左右両壁に各4基、左が湯のカランで昔ながらの真鍮製で「湯」の文字の取手を押す最近ではあまり見かけない旧型のもの、右の水の方はひとまわり小さく水色のプラスチック製の丸い取手になっています。
天井と壁はブルーのペンキ塗りで真ん中に四角い湯気抜きが立ち上がっています。
床は六角形の白いタイルが敷き詰められた古い造りですが清潔に保たれています。
相客は常に3~4人、あまり多くはありませんが次々に客はやって来ます。
地元人たちが「久しぶり」「おう」などと声を交わしている地元現役系の銭湯です。
湯上がりのひと休みにご主人にペンキ絵のことをお聞きしたら、前は五年ごとにペンキ絵は描き変えていたけれど、ということでした。
描き換えの時は絵師が2人で来て半日で仕上げていったそうです。
北鎌倉の新世美術が廃棄してしまって10年描き換えておらず「ほんとは描き換えたいんだけど誰か描ける人はいないかねぇ」と仰っていました。
因みに同湯は今年で創業から82年、タイル絵などのタイルまわりを中普請して今の形にしたのが昭和34年、今から51年前だということです。
脱衣場も浴室も小型のミニ銭湯、どこかの温泉の共同浴場のような雰囲気も感じられる昔ながらの銭湯です。
今回もみちくさの最後の銭湯、とってもよい湯なのでした。
田浦湯
神奈川県小田原市扇町1-15-9
営業時間 15:30~22:00 定休日 土曜日
- まぁやぁ
- 銭湯と路地裏散歩な日々
- 銭湯wiki
- 1960年、東京生まれ埼玉育ち。現在は神奈川県藤沢市に在住。小さい頃は風呂屋のペンキ絵が描きかえられるのを心待ちにしていた子供でした。
現在は路地裏散歩と居酒屋徘徊を趣味としており、産業遺産ならぬ生活遺産に興味を抱き銭湯や古建物などを見て巡っております。
座右の銘は遠い温泉より近くの銭湯、かな。