
今回は東京都中央区の旧町名、霊岸島をご紹介いたします。
霊岸島
【消滅した年】1971(昭和46)年
【現在の町名】新川
東京メトロ日比谷線八丁堀駅のほど近くに隅田川、亀島川、日本橋川の三方が川に囲まれたエリアがあります。戦前までは現在の中央区エリアはいくつもの川が存在していましたが、今ではすっかり埋め立てられ高速道路に変貌を遂げております。そんな中にあってここだけはなぜかそのままなんですね。なお、このあたりは江戸時代にお堀があったそうで、そのお堀にちなむ旧町名もありますが、それはまた次回にということで。

亀島橋という橋を渡った先が、今回の中央区新川界隈です。そのうちの八丁堀駅寄りのあたりが、かつて霊岸島という町名だったところになります。読み方は「れいがんじま」。町名の由来は1624年に霊厳というお坊さんがこの辺りを埋めたてて建立した霊厳寺というお寺からきています。なんてバイタリティあふれるお坊さんでしょうか。
その後、霊厳寺は明暦の大火後に深川へ移りましたが、跡地が町として栄えていったとのことです。

さてこの霊岸島、町内の消防施設や交差点の標識では今だにお目にかかれますが、この旧町名探しの最初期(2004年頃)にこの辺りを訪れたときから未だに発見できてない状態が続いておりました。他の旧町名と比べると割と遅い時期の消滅であったため、目を瞑ってても見つかるだろうとたかをくくっていましたが、その姿勢を旧町名の神様、あるいは霊厳さんがちゃんと見ていたのではないでしょうか。
しかし今回こそは初心に立ち返って、とそんな思いである自動販売機に近づいたところ、その裏あたりに今回のこれを見つけました。こんなにあっさり発見できるとは。霊厳さんありがとう。これからはもっと真摯に旧町名さがしに取り組みたいと思います。

なんと、行政が設置したであろう住所表示板でした!
ただし、今のものとはフォントが明らかに違いますね。これは何という書体でしょうか。味わい深いです。しかし書体もさることながら、「霊」という現代においては忌み嫌われ兼ねないとまでは言いませんが、好ましくない文字が本当に町名に用いられていたのですね。やはりその文字の持つインパクトはすごいですよね。

霊岸島という町名の消滅とともに街もその姿を変えつつあり、あちこちで空き地が目立ちます。この住所表示板は是非中央区に保存してもらいたいものです。

今回もご覧いただきありがとうございました。

- 102so
- 旧町名をさがす会
- 1983年生まれ、福島県出身。東京都内に残る旧町名を探しまわり、(ほぼ)毎日1町名ずつブログにて紹介しています。ネタ切れまで頑張ります。みなさんからの旧町名発見情報や、ちょっとあの旧町名探してこいや的なご依頼等お待ちしています。名前は新宿区十二社(じゅうにそう)から。