信州にも鍾馗さんはあるが少ない。日頃は鍾馗専門の筆者も、信州を歩くと手持ち無沙汰で、路傍の雑木林のきつつきを追ってみちくさしたりしています。
鍾馗さんを追う私の手元にはいつも大望遠のカメラがあるので、実は鳥の写真を撮るのには都合がいいのですが、動かない鍾馗さんに慣れてしまっているので、ほとんどの野鳥写真は手ブレになります。

長野県の鍾馗さん分布状況




しなの鉄道西上田駅近くの北国脇往還沿いの民家 門の上に鍾馗さんが載る


鍾馗は関西!と繰り返し述べてきていますが、東日本にも鍾馗さんは見つかっています。
ただ、いかにも数は少ないうえ情報はほとんどなく、関西のようにお寺の周りにあるという法則性もないため、私の探索も手探り状態。主にネットで鍾馗さんの情報を見つけ、ピンポイントで見に行き、ついでに周辺を探索してみるというスタイルが基本ですが、長野県は広い。
まだまだ研究の緒に就いたばかりといったところでしょうか。

これまで見てきた範囲でいうと、長野市から上田・佐久地方と松本盆地で見つかっていますが、それ以外の地域で発見されたという情報はありません。地元の方の情報を切にお待ちします。

のびやかな・・



普段足繁く通う近畿地方と違い、信州の町並みは家々が立て込むことは少なく、どことなく大らかです。
またどこを歩いていても必ず遠くには高い山が望めます。私の場合、鍾馗さんが見つからないとどうしても気分がトゲトゲしてきますが、信州の青空と山々はそんな未熟者の心にも多少の潤いを与えてくれるようです。


正面に浅間山を望む、初冬の中山道小田井宿。鍾馗さんの姿はなし。



こちらは真夏。いやでも期待が高まる佇まいの中山道茂田井宿だったが、ここも鍾馗さんの姿はなし。



アップ&ダウンの探訪記



2007年の暮れ、やはりネットで見つけた不確かな情報を基に長野市郊外を訪ねました。
長野電鉄 信濃川田駅からほど近い領家は大きなお屋敷が目立つ静かな集落。


落ち着きのある色合いの漆喰壁が美しく、手前の石仏や石碑も信州らしい。鬼瓦に鍾馗さんがあった。



反対側にもあった。阿吽の鍾馗さんで、古いものではなさそうだが、非常に端正。


成果に味をしめて、長野駅に向かうバスを待つ間、隣の集落も探索しようと欲を出したのが運の尽き。
気がつくとバスは出発した後で、次のバスは3時間後(涙)
やむなく駅までの7kmほどを地図も持たずに歩くことになりました。犀川を落合橋で渡るとどこにでもあるロードサイド店舗が目立つ近郊住宅地となり、鍾馗発見の期待度はゼロ。とぼとぼ歩くしかありません。

ところが、長野駅に近づいてきたころ、県道から少し引っ込んだところにある、ちょっとくたびれた家に


ひゃー、鍾馗さんがいるではないですか。
疲れた心と身体には鍾馗さん。一気に足取りも軽くなり、満ち足りた気分で帰りの特急「しなの」に乗り込みました。

ところがぼんやり車窓を見ていたところ、稲荷山駅を過ぎたあたりの屋根の上に、またも鍾馗さん「らしき」姿を発見してしまいました。おいおい、行きに姿を見せてくれよ。

結局翌年夏、この鍾馗さん?を確認するためにまた長野を訪れました(今度は青春18きっぷで節約旅行)。
確かに鍾馗さんでしたが、成果はこの一体を見つけただけ。本当に何をやっているんだろう。


妙にそっくり返った鍾馗さんだった。




今回紹介した鍾馗さんたち


上田市下塩尻
<1025>
長野市若穂川田
<0891>
長野市稲葉
<0892>
長野市篠ノ井篠崎
<0977>



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※<>内の数字は筆者HP「鍾馗博物館」内・収蔵室の通し番号です。





  • Kite

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  • 愛知県在住の会社員、1961年生まれ。
    週末のたびに関西方面へ遠征し、民家にひそむ鍾馗さんに望遠レンズを向けてます。
    不審尋問には笑顔とポケット版鍾馗ファイルで対抗するも、追い払われることもしば
    しば。