01-l喫煙者でありながらタスポなど持っていない私は、自動販売機でたばこを買うことができず
いつも近所のたばこ屋を利用していた。コンビニでも良いのだが、なんとなくたばこ屋で買ったたばこの方がうまいような気がして、積極的にたばこ屋を利用するようにしていたのだ。

もちろんたばこ屋を利用しているのは今も変わらないのだが、ある日「たばこ屋って角に多いよなあ」と思ったことから、たばこ屋の中でも「角のたばこ屋」のことが気になって仕方がなくなってしまった。「あ、あそこも角だ」「お、ここも角だ」といった具合である。実際には建物と建物の「間」にあったり、建物の「中」に入っていることもあるのだが、圧倒的に「角」は多い。さらに、それらを見比べていくと、同じ「角」は「角」でも、それぞれに微妙な違いがあるということもわかってきたのだ。


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まず初めにご紹介するのは、いわゆるどこにでもありそうな「角のたばこ屋」である。写真を見ても「角」にあるということはおわかりいただけるのではないだろうか。では、以下のたばこ屋の場合はどうか。


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このたばこ屋も角にはあるのだが、先ほどの店とは微妙にちがう「角」であることに気付かれるだろうか。それは売り場の向きである。角にあるとはいっても、売り場まで角に向かっているというのはありそうでいてあまりない。また、土地の形に合わせて建築したのだと思われるが、建物の形が五角形というのも風変わりで趣深い。ちなみに図で解説すると以下のようになる。


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この店はたばこ屋でありながら、食料品なども扱っているいわゆる「複合型」で、実は幼い頃の私が住んでいた家のすぐそばにある。家の者はもっぱら、調味料などをこの店に買いにいくため、私もそれに同行することは多かった。この店に訪れるとおやつなどもついでにねだることができたため、私はパブロフの犬のごとく、知らず知らずのうちに「角のたばこ屋に行く=おかしが食べられる=わーい! 角のたばこ屋大好き!」という図式を頭の中に作り上げていたのかもしれない。これが私の「角のたばこ屋」の原点である。

初回は「角のたばこ屋」鑑賞における、「売り場の向き」を見るというひとつのポイントをご紹介した。これからもさまざまな角度から(といっても、角しかないのだが)「角のたばこ屋」を見ていくつもりだ。しばらくの間、お付き合いいただければ幸いである。