たまには上を向いて、街灯探しに出かけませんか?
・・・相変わらず地味なテーマで申し訳ありません(笑)
ガス灯に限らず、世の中豊富に明かりがあるのが当たり前になってしまっていて、日常的に街灯とか明かりなんて意識もしないと思います。しかしながら、当たり前で意識していなかった明かりに注目してみると、世の中、さまざまなタイプの照明があり、大変奥の深い世界です。その中において特にガス灯は数も限られ、電灯に比べて地味で暗い明かりであるために、特に意識しないと「見えない」もののひとつです。何度となく前を通っていても、ちっとも気付かなかったなんていうこともあります。

そんなわけで、前回に引き続き、東京のあちこちにあるガス灯鑑賞スポットをご紹介していきましょう。東京から出発し、山手線・中央線に乗ってぐるっと回れるイメージでご紹介しています。

4.浜松町


(1)大門交差点
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東京タワーにもほど近い大門は、日本橋から端を発する国道1号線上にあり、旧東海道です。前回ご紹介したように、東京でガス灯が点灯されたのが、京橋から銀座、新橋を抜け、大門を通って金杉橋までの間でした。なので、大門にもガス灯が設置されています。設置されたのは2001年なのでわりと最近です。交差点の周りの歩道に4基設置されています。

(2)東京ガス本社の通用口
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東京ガスの本社は、金杉橋から海側に出た港区の海岸1丁目にありますが、これは、上記の東京発のガス灯が点灯した際、この場所にガス工場があった場所と同じです。東京のガス事業設立当時は、東京府瓦斯局でしたが、明治18(1885)年、民間に払下げられ、東京瓦斯会社となったのが、現在の東京ガスの始まりです。
こんな感じに、ガス会社の本社や営業所前にさりげなくガス灯が設置されてある場所がたくさんあります。お近くのガス屋さんの入り口にガス灯はありませんか?「いままで気付かなかったけど・・・」なんていうことはよくある話です。

5.芝浦


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さらに南下して。田町駅の東口を降りて、10分ほど歩いた運河沿いにある新芝浦運河沿緑地とその周辺の歩道にガス灯が街灯として利用されています。特に運河沿いには、距離こそ短いですが、二灯式の10基のガス灯がまっすぐに並んでいるので、とても素敵な風景なのですが・・・そもそもなぜここにガス灯が?
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これは以前、目の前に東京ガス研究所があった名残でもあります。ガス会社あるところにガス灯あり(必ずそうとは言い切れませんが・・・)
現在は移転し、再開発で更地になってしまい、ガス灯だけが残された感じです。景観的なトマソンとでもいいましょうか。素敵なので、そのままガス灯を活かした街づくりをしてほしいところです。

6.品川(御殿山)


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品川より徒歩10分、御殿山ガーデンの御殿山庭園・トラストコート入口にガス灯があります。こちらは4灯タイプで、三基あります。道端や公園などの公共の場所ばかりでなく、マンションや個人の邸宅などで、門灯・街灯としてガス灯を利用されてるケースも探すと結構あるようです。雰囲気合うかな、と思い、雪の時に撮影してみました。

7.恵比寿


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基本的に、レトロな雰囲気の場所にはよく似合うガス灯ですので、やはりレトロな恵比寿ガーデンプレイスにも設置されています。レストランの前にあり、4灯式のものが2基と、1灯式のものが4基あります。ガス灯はガラスを清掃したり、マントルを交換したりする都合上、メンテナンス性のよい角型のものが多いですが、恵比寿のガス灯は珍しく丸い灯具が利用されていて、大変素敵なガス灯です。

8.新宿


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新宿区役所前に赤々と輝く「平和の灯」。一般的なガス灯よりも赤く激しい炎が出ています。燃え方としては、かがり火に近いかもしれません。珍しい裸火のガス灯なのですが、これをガス灯と呼ぶべきかどうかは正直迷うところです。ガス灯は、まずは照明器具であり、それ以上の役割を背負わされた瞬間、ガス灯とは呼べないかも知れません。
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こちらは新宿パークタワーにあるガス灯です。こちらのガス灯も和田倉噴水公園同様、極めて現代的なオリジナルデザインの街灯なので、ガス灯と言われなければ、わからないかも知れません。左側が街灯として使われているガス灯で、右側がパークタワー入口エリアの照明として利用されているガス灯です。
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しかし、なぜここに?・・・そうです。こちらに東京ガスのショールームがあるからです。ガスに関わるところにガス灯ありですね。

9.四谷


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新宿から中央線に乗って(別に丸の内線でもかまいませんが・・)、四谷へ。紀尾井町のホテルニューオータニの入り口に、なんと、9灯式のガス灯があります。7灯タイプのガス灯は浜松駅前や石山駅前などにあるようですが、9灯タイプはここだけではないでしょうか。
これは、開業25周年の記念として平成元年に東京ガスより寄贈されたガス灯だそうです。時はまさにバブル期ですね。とてもゴージャスなガス灯でデザインも美しく、必見のガス灯です。


10.湯島


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ラストは湯島天神。男坂・女坂を上がった境内に一基のみ、ガス灯があります。ラストが大変地味で申し訳ありません(笑)
湯島天神にはかつては5基ほどガス灯があったそうですが(そのうち一基は今はガスミュージアムに保存・展示されています)、昭和40年頃に撤去、その後昭和56年に一基のみ境内に復元されたものです。
設置当時は屋外のガス灯としては唯一のもので、看板には「唯一のもの」とありますが、今はあちこちにガス灯が増加中だったりしますので、すでに唯一のガス灯ではなくなっております。


ざっくり東京のガス灯をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?「ガス灯って意外にあるんだな」と思っていただければ幸いです。

まだまだ調査中ですが、ガス灯のマップも作成しました。関東地方のみプロットしています。


より大きな地図で 全国ガス灯マップ を表示

こちらは今後も調査継続し、まだまだ増やしていくつもりです。別途写真入りのマップも作成しておりますので、興味ございましたら「全国ガス灯マップ」を検索してみてください。ご存知の場所がありましたら、お知らせください。

ガス灯はひとまず置いておき、次回からは電灯を観察してみたいと思います。




  • 夜景専科(本名:三原 崇)

  • 夜景専科blog

  • 1974年横浜生まれ、千葉育ち、東京暮らし。某情報サービス企業でWeb系業務を担当。
    仕事があまりにも多忙だったため、夜しか遊べず、夜を撮るきっかけに。カメラは30才を超えてから。一眼レフを持ってあちこち出歩くのが趣味です。一応、夜以外も撮りますけども。