
雑司が谷の井戸達は隅に追いやられる事なく、生活の中心にいた。
みずみち
雑司が谷霊園の周辺では、墓参客へ花を提供し、くつろぎの場所を提供する「花屋さん」が多くみられその店の前には例外なく井戸ポンプが稼動中している。なぜ井戸なのですか?と聞くと
「水道じゃお金がかかってとてもじゃないけど元がとれないのよ」
との事。井戸ポンプが活躍するのも納得である。
井戸は、使えば使うほど、水が澄みよい水となる。むしろ、井戸は使わないと枯れる。使いすぎると枯れそうな気がするが実はその逆。
勾配が無い場所での地下水は(よく地下水脈といわれるが、井戸程度の深さでは水脈はほぼ無い)言わば地下の水溜りであり、水が吸い上げられるところに向かって緩やかに流れていく。
例えば樹木。
樹木は水を吸い上げて空気中に蒸散させる。吸い上げられた場所の地下水位が低くなるので、周りからまた流れ込んでくる…。これが地下水の代表的な水の流れだ。この流れを「みずみち」という。長い間「みずみち」が通うと、その経路の砂利や土が洗われより水が通り易くなり、淀みの無い綺麗な水が流れるようになるのだ。
日常的に井戸ポンプで水を汲む。この行為が地下によい「みずみち」を作り、東京の区部にも関わらず飲める水を作り出しているのだ。
築80年を越すという二階建ての民家。こちらは雑司が谷霊園の「花屋さん」である。サンシャイン60のそびえる池袋を貫く首都高五号線の直近でありながら、まるで旧街道にポツリと取り残されて保存されたかの様な民家の前に残る井戸ポンプ。しかも毎日使用される立派な現役!さらに特筆すべきなのは、「飲用可」であると言うことだ。墓参客へ提供されるお茶等は、この井戸の水を使用しており、まろやかな味だという。ちなみに、しっかりと水質検査は行われているのでご心配は無く。
その井戸がコレ。ちなみに、こちらの引き戸の窓には「摺りガラス」で「此花亭」とはいっています。最初はシールかと思っていたのですが、ちゃーんとガラスでした。何年もたっているので、ガラスには少しゆがみが入っていました。
よく何十年も割れないで残っているなぁ!と感激しました。
飲める、飲めるぞ!!

この井戸は、家の中にあった。私が「井戸マニア」である事を明かし、撮影をお願いしたところ快くお許しいただけた。
井戸が家の中にある理由を伺ったところ・・・。
「いたずらが多くて、家の中に引っ込めたそうよ。大正の終わりくらいまでは、家の外にあったっていう話だけど・・・私がお嫁に来た時には、もう家の中にあったから詳しい事はわからないけどね」との事。
視線をうつすと、グレープフルーツが冷えた井戸水にプカリと浮かんでいた。「この水は飲めるんですか?」と、聞くと、水質検査を去年の暮れに行った事。費用は六千円ほどかかった事。また、遊びにくる孫達は平気でガブガブと水を飲んでいる事などを教えてくれました。
「私にも・・・・飲ませていただけないでしょうか?」
「え?・・・まぁ、物好きねぇ、いいわよ。ちょっとまっててね。」
そう言うと、奥からグラスを持って来てくださる。
ギーッ、ギーッ、ギーッ・・・何度もポンプを漕ぐ。
「こうやって・・・水が冷たくなるまで漕がないと・・・美味しくないのよ・・・」
一分くらいたっただろうか、勢いよく放出される井戸ポンプの水流にグラスを当て「はい。どうぞ。」
と、冷たい水で満たされたグラスを渡してくれた。今日の水は格別に旨い。
グラスをかざすと、冷たい水と、暖かい心がゆらゆらと溶けていた。
あ、雑司が谷には他にも井戸が沢山(30基以上)あるので、是非是非、みちくさして探してみてください!

- 井戸人_柏崎哲生
- 井戸人別館【東京翠影】
- 1976年生まれ 地元の裏道にて井戸ポンプを発見し、その魅力に取り付かれる。
・■_nendonさんのステータス - ロケタッチ

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