これまでは坂道の名前の由来などにしたがっていくつかの坂道をおおまかに分類してみてそこで見つけたいくつかの坂道をさらりと紹介するという形をとってきました。
ただ都内にはご存知の方も多いとは思いますけど名のつく坂道だけでも実は膨大にあり、新旧の坂道の数はおそらく1000坂以上あると予測され、僕自身まだ歩いていない坂道も多数存在します。

そこで思いついたのが都内の名のついている坂道の中でも一番数が多いわりに謎もそれなりに多い富士見坂を中心に富士山となんらかの関係がある坂道や景観・地形にちなんだ坂道の話にしぼって、毎回それらの坂道をひとつひとつ丁寧に歩いてみようというシリーズ企画です。

これならば、ウェブならではの写真をたくさん掲載できるメリットも生かせそうですし、まだ歩いていない坂までらしく説明してしまうこともなく、なにより坂道を歩きながらいろんな気になるポイントをそれなりに説明できるという利点もあります。

中には僕の坂道ブログですでにまわってしまった坂道(主に富士見坂です)も再度でてくることもありますが、前に歩いてからおそらく10年くらいの月日が経っていますので、まわりの風景もすこしは変わっているだろうし僕の見方も変化しているかもしれないので、それはそれでいいのかなと思っています。
(もちろん他の坂道についても合間に紹介していく予定ですのであしからず。)


そういうわけで、いきなりですけど、今回、まず手始めに目黒駅近くの坂道を歩いた時の話にはいりたいと思います。
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写真1

まず今回の坂道の場所ですが、JR目黒駅の北側に位置し駅から徒歩数分の場所にあります。
写真1は坂下からの風景です。見るからに急勾配な坂道ですね。左側の標識には「15%」という表示があります。数字だけ見るとピントきませんけどね。
またここから見えるぶんには、ホップ・ステップ・ジャンプ!という具合に坂を上がる途中に踊り場のような場所が2つほど見えています。こういうなにげない起伏の変化は坂道観察ではかかせないのでしっかり見ておぼえておいてください。
そして両サイドの立派な擁壁もいろんな種類があるので時間がゆるせばしっかり鑑賞してみてください。
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写真2


写真2はすこし坂上のほうに移動して坂下のほうを見たものです。ちょうど目の前にホップ・ステップ・ジャンプ!のホップにあたる部分の踊り場が見えています。そしてその両サイドにはマンションへの出入口がうまくつくられています。なかなかしゃれたつくりと言ってもいいと思います。
あと気になるには右下あたりに見えている銀の手摺です。これにもいちおう注目してみてください。歩道と車道をわけるためのものではないことは明らかなので、おそらくお年寄りや子供のためにつくられたものだと思います。ということはそれだけ普通の坂道道路より危険度が高い急勾配道路ということかもしれないですね。
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写真3

写真3はホップ・ステップ・ジャンプ!のステップの位置にあたる下から2つ目の踊り場あたりから坂上の方を見たものです。このあたりを歩いているときは、視線が自然と坂上のほうを向いているのでどうしてもその視界の中に空も見えてきます。そんな時にこの坂のように両サイドに背の高い建物がなかったりすると「空が広く見えるなあ~」という具合になるわけであります。(さらにここに電線・電柱の豆知識があれば最強です。)
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写真4


で、やっと写真4です。これは坂下から見えていたホップ・ステップ・ジャンプ!のジャンプ!の部分にあたる坂上からの風景です。もう坂下あたりははるか下のほうに見えています。おそらく建物5階分くらいの高さはありそうです。手元にある地形図で計ってみてもおよそ18mくらいの高低差はあるようでした。

そしてここは最初にお知らせしたとおり富士山に関係する坂道であります。ただこの坂道には特別な名前はなくトップの写真のような「関東の富士見100景」と記された案内板がちかくにあるだけです。
(「関東の富士見100景」についてのくわしいことは公式HP(http://www.ktr.mlit.go.jp/chiiki/fuji100.html)をみてください)
要は関東地方で富士山の眺めが良い場所として国土交通省が選定した場所(基準は不明)のひとつがこのあたり一帯の坂道だということですね。
なのでこの坂は昔からあったというわけではないですが、今でもこの坂上から毎年2月の11~12日および10月の30~31日の日没あたりに富士山(ダイヤモンド富士ともいうみたいです)を実際に見ることができるそうですよ。

今回の住所
東京都目黒区目黒1丁目2と3の間




  • 雲本らて

  • 東京坂道さんぽ

  • 1973年7月、兵庫県(というか神戸)生まれ、♂(男性です)。世田谷区在住。
    現在は「東京坂道さんぽ」というブログを運営しながら、坂道観察などを続けています。