
こんにちは、普段観光社の吉永です。
前回記事でお知らせしたダンメンツアー、参加者は七名、春の京都を神社仏閣、花見の名所も素通りして丸一日ダンメンめぐりを楽しみました。上の写真はツアーの様子。通行人が不審に思いながら通過していく様子がおもしろい。今回はツアーレポートとして参加者自身が撮ったダンメン写真とコメントを紹介したいと思います。
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撮影:河原司
まずは富岡淳さんから
※以下このコーナーの写真撮影:富岡淳

「チャームポイントいかにもなシルエットとその形跡が柔らかい曲率のレリーフ状になっている点で、職人の性格が窺われるようで なんだか微笑ましくさえ感じる。」

「未処理のダンメンの荒々しさと、屋根や日差しの部分に施された雨水を導くキレイなアールを描いた左官仕事が良い対比になって見応えがある。」

「ビルのデザイン?と目を疑うほど整然と残る痕跡。こつぜんと建物が消えてしまったかのような想像力をかき立てる、誰かに教えたくなるダンメン。」
「(ダンメンツアーに参加して)そういえば視界に入ってたな…ってカンジのダンメン。でもよくよく見れば、様々な事情や思惑がカタチとなって現れた建物や街の履歴書だった。そして、それはそのまま人が「境界」に対してどのように対峙してきたかを考える機会となった、大変刺激的な体験でした。」
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次は建築設計事務所アーキテクトタイタン主宰の河原司さん(左から二番目の方)※以下このコーナーの写真撮影:河原司

最初のうちにみたものですが、断面だけでなく、露地までがあらわになっているところが、本当に「図解・断面」みたいな感じがしました。人々の生活が、断面によって切り取られてしまった、すまれている人々の気持ちはあきらかに変わったでしょうね。(あらわにされて、恥ずかしいと思っておられるか、 明るくなってよかった!とおもっていらっしゃるかはわかりませんが)引きでは見えないことが前提でつくられていたものが、見えるようになってしまって、なんか、スカートの中が見えてしまったかのような、「いやん、見ないで」というようなエロティシズムを感じさせるような作品です(?)」

他の物と違って「もう、ふさごうともしていない潔さ?」が迫力がありました。
鉄骨&ブロック造で、なんか危うげで(木造よりかえって危うげに見えるのがおもしろい)
しかも中も見えてしまっている。インパクトはこれかなと思いました。

ルーチョ・フォンタナ の 空間概念 を彷彿とさせました。
http://www.oi-bijutsukan.com/item-0801051.html
最小限の線が逆に想像力をかき立てられます。
また、切り込まれ具合が絶妙に静謐かつ暴力的。地味ですが、名作かと。
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次は壁の写真集「壁の本」の著者杉浦貴美子さん。「壁の本」に習ってダンメンのクローズアップをご覧ください。※以下このコーナーの写真撮影:杉浦貴美子

「1位 コンクリから錆びが溢れるダンメン。まさに巨大壁画!コンクリのなかから剥き出しになっている鉄板。そこから流れ落ちる錆び。波板の筋が並行に残っているコンクリ面。どの部分をとってもひとつひとつが完成された絵になってしまう、ため息がでるような素晴らしいダンメンでした。ぜひもう一度、今度はじっくり時間をとって触りまくりたいです。」

「2位 たけしのポスターがよく映えるオール鉄板ダンメン。自分の家をもしダンメンにするのなら、ぜひこのオール鉄板工法を選びたい。そしてこの錆びの行き着く先を見守りたいという強い衝動にかられるダンメンでした。」

「3位 キング・オブ・ダンメン。やっぱりこれはどう考えても外せなくて。モルタルのテクスチャも大変素晴らしいのですが(これは大山さんが命名してくれたマスクメロン壁に分類される逸品ですね)、途中で壁の色が変わっているところや、屋根の重複した形状と壁の凹凸、これまでのさまざまな経緯を推測したくなる探偵的面白さが加味されたダンメンでした。今回のツアーで町屋の成り立ちや特徴的なかたちなどいろいろと教えて頂き、すっかり興味津々です。いつか中に入ってみたい。

「番外1 アンニュイなダンメン。塗装工さんの仕事っぷりに少なからずシンパシーを抱いたダンメン。この淡い色彩のアンニュイな雰囲気は、仕事に失敗したときや疲れたときにしみじみと見つめたくなるだろうこと請け合いです。」

「番外2 柔らかいダンメン。これに至ってはダンメンと言うより壁の一部なのですが、壁なのにこんなに柔らかくもわっとしたシルエットが、意匠じゃなくて事情でできている!というところがなんとも心に響きました。」
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写真とコメント送っていただいた富岡さん、河原さん、杉浦さんありがとうございました。同じダンメンでも見方は人いろいろ。今度はあなたもダンメンを見て回りませんか?次回の開催をお楽しみに。


撮影:河原司
まずは富岡淳さんから
※以下このコーナーの写真撮影:富岡淳

「チャームポイントいかにもなシルエットとその形跡が柔らかい曲率のレリーフ状になっている点で、職人の性格が窺われるようで なんだか微笑ましくさえ感じる。」

「未処理のダンメンの荒々しさと、屋根や日差しの部分に施された雨水を導くキレイなアールを描いた左官仕事が良い対比になって見応えがある。」

「ビルのデザイン?と目を疑うほど整然と残る痕跡。こつぜんと建物が消えてしまったかのような想像力をかき立てる、誰かに教えたくなるダンメン。」
「(ダンメンツアーに参加して)そういえば視界に入ってたな…ってカンジのダンメン。でもよくよく見れば、様々な事情や思惑がカタチとなって現れた建物や街の履歴書だった。そして、それはそのまま人が「境界」に対してどのように対峙してきたかを考える機会となった、大変刺激的な体験でした。」
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次は建築設計事務所アーキテクトタイタン主宰の河原司さん(左から二番目の方)※以下このコーナーの写真撮影:河原司

最初のうちにみたものですが、断面だけでなく、露地までがあらわになっているところが、本当に「図解・断面」みたいな感じがしました。人々の生活が、断面によって切り取られてしまった、すまれている人々の気持ちはあきらかに変わったでしょうね。(あらわにされて、恥ずかしいと思っておられるか、 明るくなってよかった!とおもっていらっしゃるかはわかりませんが)引きでは見えないことが前提でつくられていたものが、見えるようになってしまって、なんか、スカートの中が見えてしまったかのような、「いやん、見ないで」というようなエロティシズムを感じさせるような作品です(?)」

他の物と違って「もう、ふさごうともしていない潔さ?」が迫力がありました。
鉄骨&ブロック造で、なんか危うげで(木造よりかえって危うげに見えるのがおもしろい)
しかも中も見えてしまっている。インパクトはこれかなと思いました。

ルーチョ・フォンタナ の 空間概念 を彷彿とさせました。
http://www.oi-bijutsukan.com/item-0801051.html
最小限の線が逆に想像力をかき立てられます。
また、切り込まれ具合が絶妙に静謐かつ暴力的。地味ですが、名作かと。
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次は壁の写真集「壁の本」の著者杉浦貴美子さん。「壁の本」に習ってダンメンのクローズアップをご覧ください。※以下このコーナーの写真撮影:杉浦貴美子

「1位 コンクリから錆びが溢れるダンメン。まさに巨大壁画!コンクリのなかから剥き出しになっている鉄板。そこから流れ落ちる錆び。波板の筋が並行に残っているコンクリ面。どの部分をとってもひとつひとつが完成された絵になってしまう、ため息がでるような素晴らしいダンメンでした。ぜひもう一度、今度はじっくり時間をとって触りまくりたいです。」

「2位 たけしのポスターがよく映えるオール鉄板ダンメン。自分の家をもしダンメンにするのなら、ぜひこのオール鉄板工法を選びたい。そしてこの錆びの行き着く先を見守りたいという強い衝動にかられるダンメンでした。」

「3位 キング・オブ・ダンメン。やっぱりこれはどう考えても外せなくて。モルタルのテクスチャも大変素晴らしいのですが(これは大山さんが命名してくれたマスクメロン壁に分類される逸品ですね)、途中で壁の色が変わっているところや、屋根の重複した形状と壁の凹凸、これまでのさまざまな経緯を推測したくなる探偵的面白さが加味されたダンメンでした。今回のツアーで町屋の成り立ちや特徴的なかたちなどいろいろと教えて頂き、すっかり興味津々です。いつか中に入ってみたい。

「番外1 アンニュイなダンメン。塗装工さんの仕事っぷりに少なからずシンパシーを抱いたダンメン。この淡い色彩のアンニュイな雰囲気は、仕事に失敗したときや疲れたときにしみじみと見つめたくなるだろうこと請け合いです。」

「番外2 柔らかいダンメン。これに至ってはダンメンと言うより壁の一部なのですが、壁なのにこんなに柔らかくもわっとしたシルエットが、意匠じゃなくて事情でできている!というところがなんとも心に響きました。」
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写真とコメント送っていただいた富岡さん、河原さん、杉浦さんありがとうございました。同じダンメンでも見方は人いろいろ。今度はあなたもダンメンを見て回りませんか?次回の開催をお楽しみに。

- 吉永健一
- キョート*ダンメンロシュツ|勝手不動産/普段観光社
- 建築家。吉永建築デザインスタジオ所属。建築設計のほか建築イベントの開催やリサーチプロジェクトなどを通して知ら
れざる建築の魅力を世に知らしめる活動も行う。