0526esca_img_top
エスカレーター、それは生き急ぐ都民の足。
と常々訴えている私、日本海は金沢の出身であります。都会育ちの皆さんには「えー、金沢にもエスカレーターくらいあるでしょー」とよくいわれます。
ええ、あります、ありますよ。ありますがそれはデパートなどの話です。
こんなにも日常に、地下鉄駅の昇り降りだとかで、毎日のようにエスカレーターに乗ることはありません。地下鉄ないし。そして。

金沢の歩道橋には、エスカレーターはついていないのです。

0706esca-sub1
こちらは東京副都心、日本を代表する摩天楼、眠らぬ街、新宿は西口の歩行者デッキであります。ご覧ください。すべての階段にエスカレーターが併設、こちらの階段にいたっては、のぼりもくだりもエスカレーター、しかも屋根つきという至れりつくせりぶりです。のぼりもくだりもですよ、みなさん! そこまで急ぎますか! 傘を閉じたらいいか開いたままでいいか迷うような長さですよ!

ちなみにですが、バリアフリーの観点でつけるならば、わたしが言うのもなんですが、俄然エレベーターなんです。だから、金沢にもエレベーターはたくさんあります。エレベーターつき歩道橋もあるかもしれません。しかしエスカレーターの一番の長所、強み、メリット、アピールポイントは、「待ち時間なしにたくさんのひとを一気に運べる」そこにつきるのです。つまりこれを要約すると「生き急ぐ都民の足」にほかならないのです。わかっていただけるでしょうか。

0706esca-sub2
もうひとつ。こちらは歩道橋好きには有名な、銀座七丁目の歩道橋。交通量の多い昭和通りを渡る大切な歩道橋ではありますが・・・すべての歩道の着地点に、エスカレーター!

0706esca-sub3
ひとを感知して動き出すための、立派なゲートもついてかっこいいですが、ああこんな立派なエスカレーターがひっそりと歩道橋で待ち受けているなんて、いったいぜんたいほんとうに、都会っておそろしい。

0706esca-sub4
そして最後は、これはかなりぐっとくる、とっても普通のタイプの歩道橋にひとり乗りタイプの歩道橋。
新宿、銀座とつづいてきましたが、これに出会ったのは実は、福岡です。しかも博多ではなく、黒崎の駅前。博多の堂々たる栄えっぷりにもかなり驚嘆した私でしたが(地下鉄あるし)、ここで確信に変わりました。福岡よ、あなたも都会派の一員だったのね・・・。

ところで、典型的な通学路的歩道橋の横に、エスカレーター。
これをみて、なにかを思い出しませんか。思い出さないですか。
0706esca-sub5
そう、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で、主人公シンジたちの通う、第壱中学校のすぐ横に、エスカレーターつき歩道橋があるのです。
エヴァンゲリオンでは、アニメ版、劇場版とおして、「ちょっとだけ未来」の東京、そして箱根が舞台になっていますが、この「ちょっとだけ未来」感の演出の仕方が随所に渡り絶妙で、しびれます。
特に歩道橋にエスカレーターの演出は。これはやばい。
私が感じてきた、エスカレーターの都会感、未来感と歩道橋とのちょっとしたミスマッチを、庵野監督もやはり感じていたのだと、気づいたときには勝手ながら、かなりうなったのでありました。





  • 田村美葉「東京エスカレーター」管理人

  • 東京エスカレーターMANIAX

  • 1984年うまれ、石川県出身。大学入学を機に上京。以来、主にエスカレーターに乗って浮かれたり、かっこいい橋脚を追って延々と高架下を歩いたりしている。高架橋脚ファンクラブ会長。