さて今回は、前回の記事でご紹介した「みずかん」(滋賀県立水環境科学館)に展示されていた素晴らしいマンホール蓋達のディテールをご紹介していきましょう。
想像以上にカラフルな「みずかん」のマンホール蓋達
まずは、外人受けしそうな蓋からご紹介です。(2011年3月撮影 以下すべて同じ撮影日)
忍者が走りながら手裏剣を投げる瞬間を切りとった躍動感あふれるデザインです。ハードなイメージのある忍ですが、シンメトリーに配置された忍び装束の忍者、こちらに向かって投げられたような手裏剣、そして「ツツジ」がポップな色づかいで、なんだかファンシーな感じに仕上がっています。
日本好きな外人の方がTシャツにしちゃいそうな蓋ですね。もちろんこの蓋は甲賀市(旧甲賀町)の蓋です。
全体像は、こちら
次は、豊郷町の蓋です。
「江州音頭を踊る女性」と町の花である「ツツジ」がデザインされています。江州音頭とは、滋賀県を中心に盆踊りに用いられる音頭で、発祥の地の一つが豊郷町とされています。
シンプルな線で優雅に踊る女性を表現しているのは見事としかいいようがありません。たまたまだと思いますが、凹凸で女性に影ができており、まるで夏祭りの灯りに照らされ踊り続けているようで、今にも江州音頭が聞こえてきそうです。
またこの写真ではうつっていませんが、ツツジの外側が提灯なのもポイントが高いです。全体像は、こちら
さてお次は、高島市(旧高島町)の蓋です。
だれがどう見ても、ガリヴァー旅行記にでてくるレミュエル・ガリヴァーですね。。。まわりを囲っているのは、町の木の「松」と町の花の「菊」のようです。わからなかったのは、なぜ「ガリヴァー」なのか?
てっきり、姉妹都市ネタだと思ったら、「冒険とチャレンジ」をテーマにしたガリバーチャレンジタウンという構想が旧高島町にあったことからきている様子です。「ガリバー青少年旅行村」という「ガリバー気分が味わえる、おとぎの国のキャンプ場」があるみたいですので、がぜん行ってみたくなりました。
全体像は、こちら
さてどんどん行きましょう。次は高島市(旧安曇川町)の蓋です。
今度は扇子です。正確には、「扇骨」をデザインしたもののようですね。
旧安曇川町は三百年以上の伝統を誇る竹の扇骨産地と知られているそうで、全国生産量の90%がこの地で生産されているそうです。生産された扇骨は、京都等に出荷され仕上げられるそうです。
これは私の推測ですが、あえて鮮やかに色づけされた扇子ではなく、「扇骨」を目立たせるよう白でまとめているのは、扇骨作りへのプライドが表現されているように感じます。
全体像は、こちら
次は、長浜市(旧湖北町)の蓋です。
琵琶湖の水面で羽を広げている2羽の「コハクチョウ」と鮮やかな「サルビア」の花が描かれています。大胆に象徴化された「コハクチョウ」が優雅で美しい一蓋です。
全体像は、こちら
次は米原町(旧伊吹町)の蓋です。
描かれているのは、「伊吹山」と「うぐいす」、そして町の花である「ツツジ」です。ツツジが黒かったりと、色調がかなり独特な感じですね。全体像をぜひ見ていただきたいのですが、レゲエレコードのジャケットにありそうな素晴らしいデザインです。
(残念なのは撮影時の私の構図センスがたりず。。。。この蓋の魅力は全体像で見てみて下さい。)
全体像は、こちら
さて最後は大津市の蓋です。実は「みずかん」が無くなる前にこの蓋を撮りたくて、閉館直前に滋賀まで行ってきたのです。
市の木「山桜」、市の花「叡山すみれ」、市の鳥「ゆりかもめ」を中心に有名な「大津絵」がデザインされている蓋です。「大津絵」とは仏絵から始まった民画で、東海道の一大宿であった大津宿で旅人に土産物・護符として売られていた絵です。
左に艶やかな「藤娘」、右に「鬼の寒念仏」という大津絵界の二大スターの共演と、なんだか絵柄が違う「ゆりかもめ」の愛らしさも魅力的です。
さらに全体像を見ていただくと、琵琶湖と日本三大名橋のひとつである「瀬田の唐橋」も描かれている大津市オールスター的な一蓋になっています。思った以上の素晴らしい蓋で、片道400km以上をかけて見に行った甲斐がありました。
全体像は、こちら
マンホール蓋の上の小宇宙
今回はあえて、全体像ではなく、細部を中心にご紹介させていただきました。どれも細かいところまで、素晴らしい仕事がされた蓋達です。その繊細なタッチや大胆なデザイン、そして鮮やかな色づかいは、マンホール蓋の上に一つの世界を描ききっています。使い古された言い方ですが、マンホール蓋の上に一つの小宇宙があるようですね。なかなか路上に設置している蓋では、近くによってみることはできませんが、デジイチなどで、拡大して見ることもできますので、機会があったら見てみて下さいね!
- 森本 庄治
- Twitter ID morimoto_t
- 奈良井宿のマンホール蓋を今はなきPhoto共有サービスにアップしたところ反響があったのに驚き興味をもつ。マンホール蓋界の中ではまだ新参者。
- コラボレーションソフトの専門家として活動している影響で、ソーシャルソフトを使った趣味の展開にはまっており、Twitter上のハッシュタグを使ったマンホール蓋ネタ #manhotalkやガンダムメカネタ#msvtalk。
- ブログではマンホール蓋の#Manhotalk、土産物 おもに!!「出張みやげ日記」。ソーシャルソフトのサービス マンホールマップなどを実施中