ちくさ学会初のイベント、「みちくさ学会の発表会」へ足を運んで下さった方、Ust視聴して下さった方、どうもありがとうございました。
 みちくさ学会初のイベント、「みちくさ学会の発表会」へ足を運んで下さった方、Ust視聴して下さった方、どうもありがとうございました。
まだご覧になっていない方はアーカイブがあるので是非ご覧下さい。

 さて、トマソンの発表。10分の持ち時間の中で8分間を元読売ジャイアンツのゲーリー・トマソン選手の説明に費やすという異色中の異色な発表と相成りました。真面目なトマソン研究を期待していた方には申し訳ないんだけど、きっちりとトマソンの説明を(語源の方なんだけど)させて頂きました。そういう意味では貴重。自分で言うのも何ですが、そう思います。


 とは言えども、実は物件紹介もあったんです、本当は。そこで今回は時間の都合で省略・割愛したものを改めてご紹介しようと思います。


 発表でもお話しをしたのですが、個人的には高所ドアと言われるタイプのトマソンがとても好きです(みちくさ学会内参考:「小説の景色を目の当たりにしてみよう」。

 以前もご紹介した高所ドアなのですが、もっともっと素敵な高所ドアトマソンを紹介したい!というのが発表の要旨だったのです。




 まず最初は東京都北区十条にある物件なのですが、私がインターネット上で最も有名なトマソンサイト、「トマソン・リンク」に投稿して初めて掲載された、という個人的にはとっても意味のあるトマソンです。

 夜になったら本当に営業してるのかどうか微妙な店構えのおそらくは居酒屋さんか何かの建物です。実際営業しててもなんか一見では入るのに気がひけるような、そんなお店なのではないかと勝手に想像してしまうくらいにちょっとさびれた風情です。
 
 この建物の2階に当たり前のような顔してドアがくっついているのですが、出た先には庇しかありません。メンテ用にしてはずいぶんと立派な存在感のあるドアです。本当に、このドアから出て人はいったいどこを目指そうというのか、というところが不思議不思議な物件です。




 発表会で最後に、かなりの駆け足でご紹介したのが、神奈川県横浜市の市ヶ尾近辺にある民家です。本当に普通の民家なのです。2階にドアがあるけど外からはそこに行けなくなっている、という事以外は。




 民家の高所ドアというのはとにかくテンションが上がります。だって普通の家なのに何故か2階にドアがあるんですよ?このドア、全然役に立たないんですよ?そこに行く術がないし、ここから出てもどこにもいけないのですもの。


 じっくりと鑑賞して頂きたいのですが、このドアについている庇には何故か玄関灯があります。多分、点灯させる事も出来るのでしょう。問題としては、電球を交換しようとすると生命の危険が伴うという事くらいでしょうか。

発表の最後に慌しく説明してしまったのですが、民家系の高所ドアトマソンにはこの物件のような玄関灯であったり、呼び鈴であったり、という付着物があってなかなかに楽しいです。もう今は誰も押さない呼び鈴。ああトマソン。




 そして発表会では紹介しきれなかったものを今回はご紹介します。場所は東京都港区。汐留のそばです。JRの線路脇にあるので、車窓からも眺める事が出来ます。

 民家ではないこういった建物における高所ドアというのは、概ねトマソンとは言い難いです。

 何故なら、トマソンというものは「無用の長物」なのですが、こういった建物における高所ドアには意味がある物が非常に多いからです。



 一例を挙げますと、この高所ドアは搬出入口である、という明らかな用途があります。高所ドアの上にウインチを据える台座のようなものが突出しており、ここから荷を吊り上げて直接上階に入れる為に、建物を設計した当初から計画されたのであろう、という用途が推測できる高所ドアなのです。




 しかしですね、こちらの汐留高所ドアは違うんです。ドアノブのところを拡大しましたのでご覧になって下さい。

「段差注意」

という表示がされています。つまり、人間がここから出入りしてたんだ、という痕跡がありありと残っているのです。

 この生々しさが、高所ドアを味わう上での醍醐味の一つである、と思うのです。


 いかがでしたか?トマソンというものに少しでも興味を持った方がいらっしゃったら、最初に高所ドアをお勧めする所以です。あなたが生活する町のどこかにも、高所ドアがあるかもしれませんよ?





  • 川浪 祐

  • From Basshead For

  • 1975年生まれ。中学生の頃父親の書棚にあった「超芸術トマソン (ちくま文庫)」を読んでしまい、トマソン探しの人生を送るようになる。元々は音楽やフェスの話などをしていたブログも今ではすっかり路上観察一色。