猛暑だ。まぎれもなく今年も猛暑である。
こんな暑い中何の目的も持たずにみちくさをするのは、地図も持たずに灼熱の砂漠を放浪の旅に出るようなものだ。
それはそれで夏でなければ大変結構な催しなのだけども、さすがにこの気候では「ぶらりみちくさ」とはほど遠い感じがする。実際汗だくで強烈な陽射しのもと歩き回るのは大変にしんどい。
なんだか硬い書き出しになったのも、なんか前回とあんまり変わらないアプローチなのもきっととっても暑いせい。そこで、今回は通勤通学で使う鉄道の駅にあるトマソンをご紹介していきます。前回は神奈川県にあるJRの駅についてでしたが、今回は私鉄の駅にあるトマソンです。
(1)小田急電鉄 生田駅
新宿から小田原、箱根湯本を繋ぐ小田急線。生田駅は東京都から神奈川県に入った3つ目の駅となります。各駅停車しか停まらないのですが、大学のキャンパスもあって乗降客はかなり多い駅です。
上りホーム後方から外を見ると今回の物件、高所ドアが見えます。外装がきちんとしているので、トマソン的な無作為さというよりも明らかに意志を持って設計されているドアなのですが、それにしてはあまりにも高さが中途半端です。
屋根の上に出るためのドアかとは思うのですが、かなりの段差があるので避難経路としてここを使うと怪我人続出じゃないのか?という疑問もあって面白い物件です。
(2)京浜急行線 金沢八景駅
品川泉岳寺から三浦半島三崎口までを繋ぐ、くるりの「赤い電車」でも有名な京急線。
横浜市金沢区にある金沢八景駅から見えるのは、おそらくは鉄道関連施設なのですが、どうも妙な所にドアが沢山ついている建物。更にはぬりかべもいくつかくっついています。
線路、ホームどちらからも微妙な高さに展開されているドア。シャッターもきっちりくっついているのだけれども、そこからはどこへも行けないというシュールな存在。そしてホームの真向かいにありながら誰にも注目されないというあたりが切なくてたまりません。この記事を読んだ方は今日から「おお、ドアだ」と愛でてあげて頂きたいのです。
(3)阪急電鉄 淡路駅
今回最後の物件は関西に移って阪急電鉄。車体の茶色がレトロさと共にモダンさを醸し出していてとても素敵な電車です。有川浩さんの「阪急電車」も映画化され、今現在日本にある私鉄の中では最もアツい路線と言えるのではないでしょうか。どうでしょうか。
物件がある駅はは「阪急電車」の舞台となった今津線ではなく、千里線と京都線の淡路駅です。
駅のホームから見えるのは、再開発に関連してなのかぽっかりとあいた空き地。そしてその両脇には原爆タイプのトマソン。しかもこの写真の他にももう一箇所ありました。駅のホームに立って、眼前の風景がトマソン。なんとも愉快です。
実はこの物件を見つけたのは昨年の春なので、再開発の進捗によっては既に存在していないのかもしれません。確認しに行けなくて申し訳ない。誰か現状を教えてくれるととても有難いです。
前回に引き続き今回もですが、普段何気なく乗っている電車・列車ですが、実はそこには見落としがちな町の無意味なほつれ、すなわちトマソンが眠っているのだと思います。
別に今回ご紹介したものが特殊なのではなく、実はあなたが乗っているその電車の回りにも、トマソンが埋もれているかもしれませんよ?という事でそろそろ皆さんのトマソン報告も収集してみたいなぁ、と思います。その件につきましてはまた改めて!
今回ご紹介したトマソンの詳細
(1)小田急線 生田駅・・・生田駅前高所ドアトマソン (http://tou.ch/spot/512132/)
(2)京急線 金沢八景駅・・・金沢八景駅複合トマソン (http://tou.ch/spot/512134/)
(3)阪急電鉄 淡路駅・・・現状確認出来てないので情報求む!
- 川浪 祐
- From Basshead For
- 1975年生まれ。中学生の頃父親の書棚にあった「超芸術トマソン (ちくま文庫)」を読んでしまい、トマソン探しの人生を送るようになる。元々は音楽やフェスの話などをしていたブログも今ではすっかり路上観察一色。