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こうして換気口鑑賞をしていると、よく換気口専門メーカーの方からお便りをいただく。換気口を鑑賞するという発想の珍しさもあってか、パンフレットを送っていただいたり、社内報に掲載いただいたりといろいろと特典を頂戴している。ありがたいことだ。
さて、今、私の目の前に某換気口専門メーカーさんからいただいた換気口カタログがある。
換気口にカタログにするほど種類があるの?と思ったあなたは甘い。あまりご存じないかもしれないが(そしてご興味もないかもしれないが)換気口にはすさまじく種類がある。

同じ形でも防音機能がついていたり、ほぼ同じ形に見えてもちょっと角度が違ったり大きさが違ったり、正直素人目には何だかよくわからないのも事実だが、とにかく建物の特性やクライアントニーズに合わせるため多くの種類を持っている。

鑑賞にあたってそこまで細かく違いを分類することはしないが、大まかな形についてはやはり気になる。四角い奴がいいのか、丸い奴がいいのか、表に向いている奴がいいのか、奥ゆかしいのがいいのか。ぱっと見で分かるそれくらいの分類はしてみたうえで、私が好きな換気口の形は、何といっても丸型だ。

丸型と言ってもピンとこない方は、写真でみていただくのがよいだろう。この形である。

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妙に可愛らしいこの形は、当然ながらもともと機能重視でつくられている。換気口というのは、空気は通さねばならないが、上から降る雨はしのがなければならないため、上だけにカバーがかかったような形になっている。

しかし出来あがったこの形は、換気口という枠を超え、昔の潜水服や宇宙服を思わせる独特のフォルムになっている。何の予備知識もなく単体でこれを見せられたとき、恐らく空気を吸ったり吐いたりする口だとは多くの人が思わないに違いない。

そして、それが壁に複数ちりばめられる様は、深海に潜むダイバーの群れか、あるいは宇宙を遊泳するアストロノーツの集団か。私はそんなことを夢想しながら、街を歩くロマンチストだ。笑わば笑え。
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  • 前川ヤス

  • がらり~換気口鑑賞団 

  • 1972年生まれ北海道出身。2007年春頃、電車の車窓から見える換気口配列の美に魅せられ、「日本に一人しかいない趣味(タモリさん認定)」換気口鑑賞を始める。一児の父。