先日のみちくさ学会第二回発表会の中の第三部フリートークQ&Aの中の「住みたい街は」の質問で私が答えた「銭湯王国・北千住」。
今回の街の銭湯巡りはこの北千住をご紹介しようと思う。
自分的に見直す意味でもふたたび歩いてみたいと思い、先日2日間かけて訪問してきました。
今回歩いた範囲としては足立区の内、荒川の南側で北千住駅を中心に東西に点在する銭湯を全て廻りました(1軒だけかなり西に小台湯というのがありますがこちらは千住地域ではないので省きます)。
それに銭湯もたくさんある。
ですので今回は2部構成、北千住駅の西口側と東口側に分けてご紹介したいと思います。
また、全てに入ることはさすがに出来ませんので全てを歩いて外観は撮影し、その中の東西にある銭湯の内の各2軒を入浴して来ました。

北千住は荒川と隅田川に挟まれた地域で日光街道が通っている旧千住宿を中心に昔から栄えた街です(因みに南千住は荒川区です)。
活気ある商店街と下町風景のよく残るこの地域には昔から銭湯がたくさんありました。
現在ではかなり減ってしまいましたが、それでも多くの銭湯が営業している地域です。
また、立派なお庭のある銭湯や豪華寺社風建築の銭湯も存在し、東京銭湯を体験するのにはかなりオススメの場所と言えます。
それでは今回は駅の東口側の銭湯から。

まずは「梅の湯」

駅を出てまっすぐに東にのびる学園通り。
ここを歩いて最初の交叉点を左へ進むとすぐの左手にあるのが立派な唐破風屋根の入口を持つ「梅の湯」です。
駅から徒歩1分少々、まさに駅前銭湯ですね。
入口には屋号入りのオリジナル暖簾がかかり、左右に別れた入口を隠す様な斜め配置の傘ロッカー、それに挟まれた正面奥壁には鯉の滝登りのタイル絵が見事です。
中は番台式、奥壁にはペンキ絵のある昔ながらの銭湯です。



梅の湯
東京都足立区千住旭町41-11
営業時間 16:00~24:00
定休日 不定休


ふたたび学園通りへ出て東へ。
道が突きあたるT字路を左に行くとすぐに左手にあるのが「美登利湯」



黒瓦の千鳥破風屋根が入口と脱衣場棟と二段に重なるレトロ銭湯。
入口の軒には波型の懸魚が下がっている。
暖簾をくぐると中は近年に改装されてフロント化されており、脱衣場に入ると高く白塗りされた格天井。
浴室は以前にはペンキ絵があったようですが現在は無し。
ビジュアルは男女境壁の洋風な湖畔の風景のタイル絵。
奥壁側の浴槽は深浴槽の方の座ジェットの勢いが良くなかなか心地良し。
フロアのカランは両壁側と島カラン1基、6.5.5.6の配列でした。
浴室のタイル等は比較的新しい物に更新されており、外はレトロ、中は新しめの銭湯になっています。

美登利湯
東京都足立区千住旭町25-11
営業時間 16:00~23:30
定休日 火曜日


さて、再び来た道を学園通りまで戻り、今度は反対に南側へ、そしてすぐに東に入る路地を行くと道が狭くなって昔ながらの下町の街並みを行きます。
この辺りはなんとなく懐かしい風景。
古い稲荷寿司屋や引き売りの八百屋などを眺めながら歩きます。
次の銭湯は路地奥なのですが、煙突が見えていたりするのでそれを目印に歩いて行くとあるのが「大和湯」


大きな唐破風屋根の入口。
背後の脱衣所棟も大きな千鳥破風屋根の大型銭湯。
中に入ると番台を逆向きの表向きに改装した様なフロント式。
料金を支払い中へ入ると高い格天井はやはり白塗りされている。
浴室にはペンキ絵ではなく、西洋の城(ノイシュヴァンシュタイン城だったか?)の写真が掲げられています。
浴槽は奥壁側で外壁側が張り出すL字型のレイアウトになって少し広い造り。
カランは両壁側と島カラン2基、4.4.6.6.8.8の配列で他に立ちシャワーブースが3基。
やはり外はレトロ、中は新しめの造りになっていました。

大和湯
東京都足立区柳原2-43-1
営業時間 15:30~24:00
定休日 月曜日


そこからさらに路地をあるいて行くと東武伊勢崎線の牛田駅近く。
ここに「松の湯」があります。


こちらはビル銭湯タイプの風呂屋です。
設備充実系の浴室は週替わりで男女が入れ替わるシステムのようです。

松の湯
東京都足立区柳原1-24-8
営業時間 15:00~23:30
定休日 不定休


この界隈を歩いていると、昭和から変わらぬ下町の路地裏の雰囲気が色濃く残っており、なんでもドラマの金八先生もこの辺りで撮影されたのだとか。

荒川土手に出てみるとたしかにそんな感じの風景です。
横を走る京成線の線路越しに東京スカイツリーが遠望できる。


ところで銭湯巡礼には時間的に厳しい制約が課せられる。
というのも銭湯が始まるのは概ね15時頃からなので、暖簾が掛かった状態を撮影するのにはそれ以降に訪問しなければならないのです(現在は夏期なので日が長く撮れる時間も長いのだが、冬はなかなかキビシイのです)。
もちろんそれまでは街歩きをしているのですが、北千住には良い古建築物、喫茶店、洋食屋、そして飲み屋など魅力的な物件が多くあります。
ということで今回は北千住泊まりでさらに銭湯を巡ります。

今回訪れたのは9月10~11日、ちょうど北千住は祭礼の日でありました。




次回、東京銭湯王国・北千住銭湯巡礼その弐・西口編に続く。






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  • 1960年、東京生まれ埼玉育ち。現在は神奈川県藤沢市に在住。小さい頃は風呂屋のペンキ絵が描きかえられるのを心待ちにしていた子供でした。

  • 現在は路地裏散歩と居酒屋徘徊を趣味としており、産業遺産ならぬ生活遺産に興味を抱き銭湯や古建物などを見て巡っております。

  • 座右の銘は遠い温泉より近くの銭湯、かな。