昨年末に東京都調布市にある布多天神社にてライトアップ企画が行われました。
主催されたyanopic.(ヤノピック)さんのサイトに書かれている言葉が印象的です。
「…きらびやかなライトアップでも、カラフルな色を使っておもしろおかしくやるようなライトアップでもありません。布多天神社の存在を引き立てるような、元々あったように思える光を落とし込んでいます。…」

yanopic.さんのサイトにポスター画像が掲載されています。それを見る限りでもとても美しい光景だった事が想像できます。

建物の”存在を引き立てるような”ライトアップならば、今後も多く行われて欲しいと思います。


正月や祭りは別として、興味のある人や通うことを習慣にしている人以外は、神社に行く機会はあまりないのではないでしょうか。

実際に近所の神社に行くと昼も夜も人はまばら。夜は誰もいないという時も多い。
夜の神社は暗く、近づきずらい雰囲気があるのも理由の一つでしょうか。

そんな夜の神社、少し不気味な雰囲気を無視して中へ踏み込むと、意外にも落ち着きます。
立派な木々。そして寂れたベンチ。
照明といえば、24時間ミスせず賽銭を投げられるように賽銭箱が照らされているくらい。
おそらく何時間いても怒られないだろうし、明るすぎる照明もここにはない。
夜なのに昼のような明るさを保つ照明環境にいる東京に住む人にとって、神社は憩いの場所にもなりうるのでは。

神社の利用方法としてもう一つお勧めしたいのは”デート”
デートの定番である”夜景を見るデート”(以下夜景デート)と同じような効果が手軽に得られるかも。
夜景デートとは、街灯もないような高台へ車で登り、恋人同士等が瞬く街の光を見下ろすという行為。

そんな夜景デートが定番になったポイントの一つは暗闇。
暗闇は、不安を呼び起こします。人はそんな不安を解消するために、隣にいる人に対して「近くに感じたい」という気持ちになり、親密な関係を作るきっかけになるようです。
そんな急激な感情の変化を人は「ロマンチック」と呼ぶのではないないでしょうか。

そんな「ロマンチック」な状況を手軽に作れるのが、夜の神社だと思います。
近所にあるので、時間を掛けて移動する必要もなし。徒歩で行けるのでガソリン代はいらず経済的。
照明はぼんやりと光る賽銭箱のための物以外はほとんどなく、ほぼ暗闇。
木々の下に置かれた腰掛で、少し語らえば夜景デートと同じ効果が得られるはず。








  • A24

  • 光と人

  • 2006年に開催されたインゴ・マウラー展で照明に魅了される。職業は調理担当。
    無計画の散歩が大好き。