こんにちは、みちくさ学会を運営しています、事務局の阿部です。今回はいつものカテゴリー連載とはちょっと趣きを変えて、みちくさ、つまり散歩、街頭散策、路上観察をする際に仕入れておくと街歩きが楽しくなりますよ、という書籍をいくつか紹介したいと思います。
みちくさ学会の記事を読んでくれている方は、非常にマニアックな、みちくさに一家言お持ちの方から、あるいは何となくこのサイトへ流れ着いた初めての方もいらっしゃると思いますが、今回はより入門的な書籍を紹介します。なお、非常に私的なオススメ本であること、はじめにお断りしておきますね。
(なお、藤森照信さんの建築探偵はいくつかのシリーズとして刊行されていますが、特に「建築探偵東奔西走」は、ほか雨天決行、神出鬼没、奇想天外と4部作となっておりますので、こちらも併せて読んでみるのも面白いでしょう。)
みちくさ学会的には、マンホールの蓋を味わうことはなんら突飛な趣味ではなく、むしろ散歩から派生する趣味の王道という感覚がありますが、そんな趣味王道の開祖といえるのが、こちら「マンホールのふた」を刊行する林丈二さんになるのではないでしょうか。(そこそこお値段のする書籍ですので、試しに・・・ということであれば、同じ林 丈二さん書籍でも数百円で購入することのできる「パリ 歩けば」、「オランダ歩けば」など歩けばシリーズから入るのがお手軽かも知れません)
ブラタモリ効果もあってお昼のタモリさんから、散歩のタモリさんと認識を改めた方も多いかもしれません。しかし、みちくさ好きにとってはタモリさんと言えば完全に後者、散歩の玄人というイメージです。玄人だけあって坂道撮影の技術もたしか(坂道って1枚の写真に収めるの意外に難しいんですよね・・・)。坂道周辺の飲食店情報なども収録されていますので、ガチガチの硬派な坂道本というよりも、書名の通り入門書に最適です。
今の時期、地図はスマートフォンの中に携帯するもの、という人もいるかも知れません。というか私がそうなのですが、スマートフォンを手にする以前は、この地図本を使っていました。とにかく見やすい、というのがオススメする理由です。紙の地図本はペラペラめくりながら、ふと目に留まった地形に興味を覚えたり、その地形の由来を調べて新たな知識を仕入れてみたりと、とかくセレンディピティにつながりやすいのが魅力ですね。
銭湯のビジュアルブック(写真のほか解説も非常に丁寧ですが)といえる一冊。僕は学生時代に図書館でこの本を開き、物凄い衝撃を受けました。とてもキレイで、とてもエキサイティングで、そしてそんな魅力的な銭湯を三百数十円で楽しむことができるなんて!と驚いたものです。本なんかチマチマ読んでいられるか!という方も、百聞は一見にしかず、写真だけでも一度ご覧ください。
だいぶ高価ですし、希少本なので、図書館に立ち寄った際にチェックするのが良いかも。
いかがでしょうか。
数時間で読めてしまうものから、自宅で静かに腰を据えて読み込みたいもの、あるいは携帯して流し読みして楽しむものと、いくつかのバリエーションをつけて紹介させていただきました。みちくさのお供にご一読ください。
(※事務局注:そして、この「入門本10選」という企画ですが、好評を博すことがあれば、みちくさ講師のみなさんにも入門書ってあります?って聞いてみたいと思います。)
(1)路上観察学入門
- 路上観察学入門 (ちくま文庫)
- 発売元: 筑摩書房
- レーベル: 筑摩書房
- スタジオ: 筑摩書房
- メーカー: 筑摩書房
- 価格: ¥ 819
- 発売日: 1993/12
- 売上ランキング: 25522
いま、街が面白い!路上から観察できる森羅万象を対象とした〈路上観察学〉の旗の下に、都市のフィールド・ワーカーたちが結集した。それぞれ、独特の眼玉を駆使して、街の隠された表情をいきいきととらえる方法をここに披露する。街歩きが好きな人には、欠かせないマニュアル。いきなり個人的な趣味傾向から入りますが、みちくさってオモシロイ、と教えてくれた教科書的な本がこちらです。赤瀬川 原平さん 、 南 伸坊さん、藤森 照信さんと言えば、“路上観察"という言葉の産みの親です。初版の単行本は、ものすごーく以前に発行されているハズですが、文庫に装丁が変わり、だいぶ年月を経た今読んでもその視点は色あせることありません。太鼓判でオススメしたい1冊です。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
(2)超芸術トマソン
- 超芸術トマソン (ちくま文庫)
- 発売元: 筑摩書房
- レーベル: 筑摩書房
- スタジオ: 筑摩書房
- メーカー: 筑摩書房
- 価格: ¥ 1,155
- 発売日: 1987/12
- 売上ランキング: 80375
都市に“トマソン”という幽霊が出る!?街歩きに新しい楽しみを、表現の世界に新しい衝撃を与えた“超芸術トマソン”の全貌が、いまここに明らかにされる。多くの反響を呼んだ話題の本に、その後の「路上観察学」への発展のプロセスと、新発見の珍物件を大幅に増補した決定版。当みちくさ学会での記事寄稿いただいております「トマソン」カテゴリですが、そのトマソンという言葉が生まれた経緯は、こちらの「超芸術トマソン」のなかに収録されています。「超芸術トマソン」を読まずしてトマソンを語る事なかれ、ですね。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
(3)建築探偵東奔西走
- 建築探偵 東奔西走 (朝日文庫)
- 発売元: 朝日新聞社
- レーベル: 朝日新聞社
- スタジオ: 朝日新聞社
- メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1996/12
- 売上ランキング: 281245
「近代建築」にかけては、鑑識眼・推理力ともに並ぶものはない“名探偵”の大学教授と建築写真家が、面白い建物を求めて、二人で東へ西へ―。ユーモア溢れる語り口で宮殿から豪邸、監獄、教会、銭湯といった数々の名建築、変わり種の建物を紹介。建築探偵こと、建築史家の藤森照信博士が、建築写真の増田彰久さんとの掛け合いで建築物を紹介してゆくというものです。対象となる建築物は実に様々で、監獄があるかと思えば、銭湯もあります。“建築物はオモシロイ!"という観察の目を鍛える一冊ですね。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
(なお、藤森照信さんの建築探偵はいくつかのシリーズとして刊行されていますが、特に「建築探偵東奔西走」は、ほか雨天決行、神出鬼没、奇想天外と4部作となっておりますので、こちらも併せて読んでみるのも面白いでしょう。)
(4)マンホールのふた
- マンホールのふた―写真集 (日本篇)
- 発売元: サイエンティスト社
- レーベル: サイエンティスト社
- スタジオ: サイエンティスト社
- メーカー: サイエンティスト社
- 発売日: 1984/03
- 売上ランキング: 713732
(5)新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門
- 新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門
- 発売元: 講談社
- レーベル: 講談社
- スタジオ: 講談社
- メーカー: 講談社
- 価格: ¥ 1,680
- 発売日: 2011/10/25
- 売上ランキング: 47382
(6)街の達人 コンパクトでっか字東京23区便利情報地図
- 街の達人 コンパクトでっか字東京23区便利情報地図
- 発売元: 昭文社
- レーベル: 昭文社
- スタジオ: 昭文社
- メーカー: 昭文社
- 発売日: 2011
- 売上ランキング: 133566
見やすく分かりやすい地図を追求した「街の達人シリーズ」コンパクト版(A5版210×148mm)。はい、地図です。
1/1万・1/2万の縮尺で、東京23区エリアをもれなく、きめ細かく、丁寧に案内。街の様子をそっくりそのまま再現、街中を自由自在に活動してもらえるMAPです。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
今の時期、地図はスマートフォンの中に携帯するもの、という人もいるかも知れません。というか私がそうなのですが、スマートフォンを手にする以前は、この地図本を使っていました。とにかく見やすい、というのがオススメする理由です。紙の地図本はペラペラめくりながら、ふと目に留まった地形に興味を覚えたり、その地形の由来を調べて新たな知識を仕入れてみたりと、とかくセレンディピティにつながりやすいのが魅力ですね。
(7)ウの目タカの目マチダの眼
- ウの目タカの目マチダの眼 単行本
- 発売元: JTB
- レーベル: JTB
- スタジオ: JTB
- メーカー: JTB
- 発売日: 2000/09
- 売上ランキング: 1225466
町歩きは「ジャングル探検」なのだ!風景の中には、実はいろいろな対象が、まるでだまし絵か、カメレオンの擬態のように潜んでいる。庶民文化探究家・町田忍が、町歩きのツボを徹底指南。町田忍さんは観察者であり収集家です。収集家としては、昭和懐かしもののや、納豆のパッケージラベルコレクターとして有名(?)です。町田忍さんもやはり路上観察者の視点でレポートされているのですが、文体の柔らかさと、マニアック過ぎない解説で、読みやすく分かりやすいあたり入門書としては最適かも。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
(8)建築MAP東京
- 建築MAP東京mini
- 発売元: TOTO出版
- レーベル: TOTO出版
- スタジオ: TOTO出版
- メーカー: TOTO出版
- 価格: ¥ 1,050
- 発売日: 2004/09/20
- 売上ランキング: 24380
建築書としては異例の11万部超のロングセラーとなった建築ガイド先駆けの一冊。1980年以降1994年までに竣工した現代建築を中心に534作品を写真・建築データ・解説付きで紹介。全掲載作品をプロットしたMAPは、最寄の鉄道拠点駅から確実なアクセスが得られる。掲載作品のほかにも近代建築の名作や見ておきたい建築作品も多数プロット。現代建築のパラダイムを解明する連続コラム、東京圏の著名建築家別作品巡り、各種索引なども完備。建築書といっても、著名な建築家が手がけた、それこそ高尚な建築物だけを集めたガイドではなく、民家やマンションも紹介・解説されているあたりが一風変わっています。都内各地のエリアに区切られた解説ですので、「ああ、今日はこれもって新宿あたりをブラブラしてみるか」なんて、実際の散策にそのまま使える親切さが有難いです。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
(9)VOW全書〈1〉まちのヘンなもの大カタログ
- VOW全書〈1〉まちのヘンなもの大カタログ (宝島社文庫)
- 発売元: 宝島社
- レーベル: 宝島社
- スタジオ: 宝島社
- メーカー: 宝島社
- 価格: ¥ 490
- 発売日: 1998/08
- 売上ランキング: 50235
新聞・雑誌の誤植や街で見つけたヘンなもの(看板・道路標識の誤字や変わった名前の会社・店等)の写真を投稿する独立したコーナーを作るとさらに人気を集め、単行本も発行されるようになった。一般には、VOWといえばこの投稿コーナーのみを指すことも多い。また、同コーナーに掲載されたネタは「VOWネタ」と呼ばれる。おそらく35才前後でしょうか、ある一定の年代の方にとって「VOW」と言えば街ネタの広辞苑のような存在です。街の風景を斜めに見る視点を養うための便覧といった感覚でしょうか。ある意味、「知れば景色が変わる「みちくさ」のヒント!」というみちくさ学会のテーマとも近いところありますよね。
(Wikipedia「VOW」より抜粋)
(10)二十世紀銭湯写真集 SENTO―The Japanese Public Bath in the 20th Century
- 二十世紀銭湯写真集 SENTO―The Japanese Public Bath in the 20th Century
- 発売元: DANぼ
- レーベル: DANぼ
- スタジオ: DANぼ
- メーカー: DANぼ
- 発売日: 2002/05
- 売上ランキング: 743519
北海道から沖縄までの旧き佳き銭湯を通じて、人々が銭湯とどう関わってきたかを記録した書。各銭湯の写真と解説のほか、銭湯の歴史や銭湯専門用語辞典、ペンキ絵やタイル絵ギャラリーも収録する。英文併記。
(Amazon「商品の説明」より抜粋)
銭湯のビジュアルブック(写真のほか解説も非常に丁寧ですが)といえる一冊。僕は学生時代に図書館でこの本を開き、物凄い衝撃を受けました。とてもキレイで、とてもエキサイティングで、そしてそんな魅力的な銭湯を三百数十円で楽しむことができるなんて!と驚いたものです。本なんかチマチマ読んでいられるか!という方も、百聞は一見にしかず、写真だけでも一度ご覧ください。
だいぶ高価ですし、希少本なので、図書館に立ち寄った際にチェックするのが良いかも。
いかがでしょうか。
数時間で読めてしまうものから、自宅で静かに腰を据えて読み込みたいもの、あるいは携帯して流し読みして楽しむものと、いくつかのバリエーションをつけて紹介させていただきました。みちくさのお供にご一読ください。
(※事務局注:そして、この「入門本10選」という企画ですが、好評を博すことがあれば、みちくさ講師のみなさんにも入門書ってあります?って聞いてみたいと思います。)