こんにちは、みちくさ学会を運営しています、事務局の大谷です。前回の阿部のエントリに続きまして、今日はわたくしめが書籍をご紹介させていただきたいと思います。特定ジャンルに造詣が深いわけでもないので、広く浅く、になってしまうかもしれませんが、とりあえず行ってみましょう。
1.「東京都の歴史散歩」
- 東京都の歴史散歩〈上〉下町
- 発売元: 山川出版社
- レーベル: 山川出版社
- スタジオ: 山川出版社
- メーカー: 山川出版社
- 価格: ¥ 1,260
- 発売日: 2005/09
- 売上ランキング: 78506
史跡・文化財を訪ね歩く、都道府県別のシリーズ。住所・交通機関や地図により、実際にたやすく見て回れる。文化財公開施設・おもな祭り・散歩便利帳・参考文献・年表など付録も充実。「皇居」「皇居周辺」「上野の山周辺」「日本橋・銀座」「日光街道と葛飾・江戸川」「浅草」「江東」で構成。(Amazon「商品の説明」より抜粋)歴史といえば山川出版社さん。教科書や参考書で馴染み深いのではないでしょうか。近年、「もういちど読む山川日本史」などのシリーズがヒットしておりますが、私がオススメしたいのはこの「歴史散歩」シリーズ。東京では上・中・下の3巻が出ており、それぞれ下町、多摩/島嶼部、山の手という具合にわかれています。
このシリーズ、各都道府県のものが出ており、京都のものなどは特にオススメである。国内旅行に出かける際は、是非準備しておきたい一冊です。
2.図説歴史散歩事典
- 図説歴史散歩事典
- 発売元: 山川出版社
- レーベル: 山川出版社
- スタジオ: 山川出版社
- メーカー: 山川出版社
- 価格: ¥ 1,640
- 発売日: 1979/01
- 売上ランキング: 249229
歴史散歩に必携の便利な小辞典。約900点の写真・図版とともに具体的に解説。元号、寺社仏閣・城郭といった日本建築の様式、仏像・神像の分類などがまとまっています。
新書サイズですが、2冊分くらいの厚さがあるのでそこは注意w。ちなみに巻末には主要な施設の公開日・曝涼日一覧なども付いていますが、1979年の初版以来改訂は出ていない模様なので、一応ネットで再確認してからお出かけを。w
姉妹本として「図説民俗探訪事典」「図解文化財の見方―歴史散歩の手引」というのもあります。本格志向のアナタに。
3.明治・大正を食べ歩く
- 明治・大正を食べ歩く PHP新書
- 発売元: PHP研究所
- レーベル: PHP研究所
- スタジオ: PHP研究所
- メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/12/16
- 売上ランキング: 351844
浅草、湯島、銀座、築地……。創業八十年から百年の老舗を訪ね、懐かしい東京の町と味を綴る。文人たちのエピソードも満載のカラー新書。せっかくの街歩きだから、美味しいものも食べておきたい。それもせっかくだから、ファーストフードではなく、土地の記憶が刻まれた老舗の味を堪能したいもの。そのあたりがエリア別にコンパクトにまとめられた本書。絶版なのが残念。併せて「東京 五つ星の手みやげ」でも予習しておきたいですね。何気なく存在する街の和菓子屋さんにも、それぞれの工夫と歴史と味わいがあります。
明治の牛鍋、カツレツ、大正のオムライス、カフェー……。日本人が出会ってから百年。愛され続けた老舗の変わらぬ味と心意気。伝統を支える店主たちの話に耳を傾ければ、古き良き時代がよみがえる。
本書は、浅草、神田、銀座、築地、深川界隈を歩き、明治・大正を感じさせるお店を訪ねたカラー新書。
「魂の銭湯」と呼ばれた牛鍋屋。谷崎潤一郎も愛した鳥料理店。芸者さんや「銀ブラ」女性に人気の洋食屋。一高生、東大生が馴染みにしたおでん屋……。創業当時の主人の想い、開店の経緯など、できるだけ店の人の話を聞く。「一つの鳥鍋、一串のうなぎ、一枚のせいろで五十年百年続けることがどんなに大変か、ため息をついた」と著者は語る。数々の秘話、文人墨客たちが綴った美味礼讃は、もう一つの日本近代史といえよう。とはいえ、味が勝負である。店のたたずまいや従業員の対応など、三拍子そろった老舗を厳選して紹介する。
懐かしい味と逸話に、至福のひとときを。
4.「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史 (新潮文庫)
- 「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史 (新潮文庫)
- 発売元: 新潮社
- レーベル: 新潮社
- スタジオ: 新潮社
- メーカー: 新潮社
- 価格: ¥ 460
- 発売日: 2011/01/01
- 売上ランキング: 66044
開業から百四十年、鉄道はもはや、日本人と切っても切れない存在になった。その発達は都市の形成に影響を与え、文学の一ジャンルを生み、沿線に特有の思想を育てた。また天皇制支配を視覚的に浸透させる目的で活用されたお召列車での行幸啓など、国家や政治とも密接な関わりがあった―鉄道を媒介にして時代を俯瞰する、知的で刺激的な「鉄学」入門。鉄道関係はみちくさ学会には入っていないのですが、やはり街の成り立ちにも大きな影響を与えているのが鉄道、そしてディベロッパー。成り立ちを知っておくことで、街を大きな枠組みで、俯瞰して見えるようになってくることうけあいです。もっと掘り下げてみたい方は「鉄道と日本軍 (ちくま新書)」や「ミカドの肖像 (小学館文庫)」もどうぞ。
5.地名の謎 (ちくま文庫)
- 地名の謎 (ちくま文庫)
- 発売元: 筑摩書房
- レーベル: 筑摩書房
- スタジオ: 筑摩書房
- メーカー: 筑摩書房
- 価格: ¥ 714
- 発売日: 2011/07/08
- 売上ランキング: 255567
地名を見れば、その町が背負ってきた歴史や地形が一目瞭然!全国の面白い地名、風変わりな地名、そこから垣間見える地方の事情を読み解くとともに、現在の安易な地名変更に警鐘を鳴らす。ひらがな地名普及のわけ、縁起を担いで廃止された地名、地図に載らなかった地名など、地図に精通した著者ならではの幅広く興味深いエピソードが満載。筆者が「地図ナイト」で購入、登壇していた著者の今尾恵介さんご本人にサインを入れてもらったのが本書。
地名には、ゆかりのある人名や行政機関が置かれた場所、あるいは起伏といった、歴史や地形によって名付けられていることが多い。たとえば岐阜の"阜"は丘、盛り上がった土地…。そんな、地名に関する基礎知識を頭に入れておくと、2DDの地図も3D、4Dに見えてくる。かも。
それから古本屋で見つけたら手にとっていただきたいのが「東京地名考」。上下巻ともに絶版なのが残念。新聞社の記事がベースになっているらしく、都内数百の地名それぞれの由来や街の表情が2ページ程度に手短にまとめられている。パッと開いて出てきた地名が気になったら、その街へふらっと出かけて行くのも良いでしょう。
6.切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩
- 切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩 (古地図ライブラリー別冊)
- 発売元: 人文社
- レーベル: 人文社
- スタジオ: 人文社
- メーカー: 人文社
- 価格: ¥ 2,520
- 発売日: 2002/06
- 売上ランキング: 63863
「江戸切絵図」と、同じ場所を図取りした現代図を左右のページに並べ、変貌ぶりや社寺の健在を知ることができる一冊。その他、セレクト散歩・美麗イラスト12コース、古地図で楽しむ鬼平・忠臣蔵の世界などのコーナーも。「建築MAP東京」が事務局員阿部によって紹介されてしまったので。近頃では「東京時層地図」といった古地図アプリがありますので、街歩きも非常に便利になっておりますが、このシリーズも侮れません。
古い街であればあるほど、古道が今も生きていたりします。そうか、ここにはアノ●●●●が住んでいたのか、そうすると、きっとこの道を、彼が●百年前に歩いていたのだなあ…といった感動を味わえます。どうです?この感じ、伝わりますかね…?
7.本郷界隈―街道をゆく
- 本郷界隈―街道をゆく〈37〉 (朝日文芸文庫)
- 発売元: 朝日新聞社
- レーベル: 朝日新聞社
- スタジオ: 朝日新聞社
- メーカー: 朝日新聞社
- 価格: ¥ 546
- 発売日: 1996/06
- 売上ランキング: 159324
明治初期、お雇い外国人が住み、日本最初の大学が置かれた街。本郷は近代化を急ぐ当時の日本で、欧米文明を一手に受け入れ地方へ分ける“配電盤”の役を担った。今も残る団子坂、菊坂、真砂町、追分などの往来に、夏目漱石、森鴎外、樋口一葉ら、この街を愛した文豪が書き残した面影をたどる。古地図モノに続いて。筆者は「街道」という言葉のもつ響きになぜか魅力を覚えます。歴史上の人物が往来したという事実もさることながら、名も無き人々の旅の思い出、喜び・悲しみ、人生もそのまま詰まっているように思えて…。
それから、筆者が一度やってみたいのが、文学作品に出てくる実在の場所をひたすら写真に集めてまとめてみる、という作業。なかなかで実現できていないのですが、まさにそうした欲求を喚起させられるのがこのシリーズではないでしょうか。筆者は国内旅行に行く際は、まずは「街道をゆく」に行き先を扱ったものが無いかを探してしまいますね。
8.歴史遺産 日本の洋館〈第1巻〉明治篇(1)
- 歴史遺産 日本の洋館〈第1巻〉明治篇(1)
- 発売元: 講談社
- レーベル: 講談社
- スタジオ: 講談社
- メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/10/01
- 売上ランキング: 477720
日本の美しい歴史遺産「洋館」!!「看板建築」の開祖でもある建築探偵・藤森照信氏と、建築写真の第一人者・増田彰久氏の美麗写真による、まさに"図鑑"。全五巻でなかなか高額ですので、筆者は図書館で楽しませていただきました。
知られざる華麗・繊細な世界!!
今後、二度と実現できない画期的全集!!
第一人者の建築家と写真家の30年を超える共同取材を集大成!!
明治・大正・昭和(戦前)に個人邸として建築された85の名邸!!
洋館の建築主の物語、間取り図(63邸)、建築家の系譜、現況など貴重な情報も収録!!
前述の「図説歴史散歩事典」では、日本の建築様式はカバーしているのですが、近代以降の洋風建築に関する知識は、やはりこうした本で楽しみながら覚えて行きたいところ。横浜の山の手なぞを歩きながら、「あれは、チューダー様式だね」「いえ、スパニッシュ様式だわ」「ああ、そうか、アハハ」なんてスノビッシュな会話を楽しむことができますよ。
9.TOKYO-NOBODY
- TOKYO NOBODY―中野正貴写真集
- 発売元: リトルモア
- レーベル: リトルモア
- スタジオ: リトルモア
- メーカー: リトルモア
- 価格: ¥ 2,625
- 発売日: 2000/08
- 売上ランキング: 70206
渋谷・青山・麻布・銀座・新宿・湾岸…街から人がいなくなり、残されたのは建物だけ。人間が作ってきたものは何だったのか。自然との共存を拒否し、作っては壊し、壊しては作り、創造と破壊を繰り返してきた歴史がここに。今回のラインナップの中ではちょっと異色の本書。たとえば新宿南口、あそこに人が一人もいないことなんて、考えられますか?本書では、著者がじっくり時間をかけ、各地で「誰もいない」瞬間を切り取った写真集。イマジネーションが膨らむ非日常の光景から、街は人が居てこそのものだなぁということが逆説的に浮かび上がってくる気がします。
10.散歩の達人
- 散歩の達人 2012年 02月号 [雑誌]
- 発売元: 交通新聞社
- レーベル: 交通新聞社
- スタジオ: 交通新聞社
- メーカー: 交通新聞社
- 価格: ¥ 580
- 発売日: 2012/01/21
- 発売日: 2012/01/21
…とまあ、他にもいろいろあったのですが(お墓とかね……。10冊に絞るのはなかなか難しい!)、機会があればまたやってみたいですね!