鍾馗さんの分布は関西中心。このコラムでも取り上げるのもほとんどが関西地方の鍾馗さんです。
関東地方の方から、「東京周辺にはないのですか?」という質問をいただくこともありますが、正直なところよくわかりません。

東京都内では10体を確認したのみ

自分で探しあてたというより、いろんな方から教えていただいたり、ネットサーフィンで見つけた鍾馗さんばかりです。適当に歩いて見つかる可能性はほとんどなさそうで、まさに砂漠で砂を拾うようなものです。

今回は東京都内で発見した、10体すべてをご紹介します。
場所はあえて細かく記しませんので、興味のある方はがんばって探しあててみてください。

冒頭の鍾馗さんは台東区谷中。みちくさ学会で井戸を担当する柏崎さんからの情報です。
でかい顔に立派なたてがみを逆立たせて迫力十分。
まだここ数年のうちにあげられた若い鍾馗さんのようです。


(2010年12月撮影)


次は日本橋人形町。こちらはとある方のブログで発見。
親子丼でいつも行列の「玉ひで」の近く、路地の高級そうな料理屋さんに二体並んであがっています。





(2008年11月撮影)

上は関西ではよく見かけるタイプですが、
下の鍾馗さんは類例が愛知県東浦町に一体あるだけの珍しいものです。


次は湯島。神田明神の門前の有名な甘酒屋さんにあります。


(2010年8月撮影)

古いものではなさそうですが、これは一見して手作りです。
鉄枠が無粋ですが、手の届く低い位置に置かれているので破損防止のために、致し方ないところです。


お次は雑司が谷。作家の屋敷を料亭とした、風格のあるお宅で、ここには三体の鍾馗さんがあがっています。


真ん中にあがった、ご本尊がこちら。手作りと思われる立派な鍾馗さん。





(2010年8月撮影)

両脇を固める二体は量産品です。


続いては六本木。ネットで発見しました。国立新美術館とミッドタウンを結ぶ斜めの道から
少し路地に入ったお店に二体あがっています。





(2010年12月撮影)

どちらも量産品の鍾馗さんで、最近京都からやってきたものでしょう。


最後は大井町です。見晴らし通りの商店街。


(2007年6月撮影)

聞き込み調査をした方からの情報では、この鍾馗さんは60年ほど前に店を新築されたときにあげたそうです。
また大井町周辺では他にも二軒のお宅に鍾馗さんがあるとのことで、いずれも同時期ですが、それぞれが個別に取り寄せたもので、大井町周辺で鍾馗さんをあげる風習が根付いていたわけではないようです。


東京で私が知る鍾馗さんは以上で全部です。雑司が谷の一体以外には古いものはなさそうで、東京に古くから瓦鍾馗をあげる風習があったのか否か、定かではありません。

きっとこの何倍もの鍾馗さんがいるのだと思いますが、情報がほとんどありません。在住の皆さまからの発見情報を切にお待ちします。

ozawa@bird.email.ne.jp


今回登場した鍾馗さん

台東区谷中
<1251>
中央区
日本橋人形町
<0441>
同左
<0084>
千代田区外神田
<1217>
豊島区雑司が谷
<1218>
同左
<0083>
港区六本木
<0050>
同左
<0046>
品川区東大井
<0107>

※写真をクリックすると筆者のブログ「鍾馗を尋ねて三千里」の解説ぺージが開きます。
※<>内の数字は筆者HP「鍾馗博物館」内・収蔵室の通し番号です。







  • Kite 改め 小沢正樹

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  • 鍾馗博物館

  • 愛知県在住の会社員、1961年生まれ。
    週末のたびに関西方面へ遠征し、民家にひそむ鍾馗さんに望遠レンズを向けてます。
    不審尋問には笑顔とポケット版鍾馗ファイルで対抗するも、追い払われることもしば
    しば。