看板建築
こんにちは。事務局員大谷です。私達事務局員が書いた「みちくさ学会事務局員がおすすめする、みちくさ入門本10選(1)」、「(2)」に続き、3月にはトマソン講師の川浪さんがオススメする本をご紹介しました。
今回は「看板建築」カテゴリの山崎さんから、オススメの本をご紹介いただきました!
(※冒頭の写真は山崎さんの第一回目のエントリ「カンバン建築ってなんだ?」より。)

  ◇  ◇  ◇
看板建築について知りたいと思う人にとって、そのものズバリ、の本はほとんどありません。
看板建築
看板建築
  • 発売元: 三省堂
  • レーベル: 三省堂
  • スタジオ: 三省堂
  • メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1999/07
  • 売上ランキング: 351788
いわずと知れた、看板建築の古典。というか看板建築のみを取り上げた書籍は他に類がないので、まずはこの本からスタートしてみるといいでしょう。本書の執筆時はバブル期で、どんどん看板建築が減っていく、と書かれていますが、しぶとく生き残っている建物の多いことに驚かされます(私の連載でもいくつかの物件を取り上げています)。
もちろん、ねばってねばったあげくに、あっさり建て壊されることもあるのがまた看板建築らしいところです。

家の写真集 東京ノスタルジック
家の写真集 東京ノスタルジック
  • 発売元: 岩波書店
  • レーベル: 岩波書店
  • スタジオ: 岩波書店
  • メーカー: 岩波書店
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2011/07/28
  • 売上ランキング: 661113
レトロな個人宅の写真集、という体裁なのですが、実際のところ「看板建築写真集」だと思います。ほとんどの物件は看板建築か、江戸由来の出桁作りの商家です。いかに看板建築が個人商店とつながっているか再確認できる一冊です。本コラムシリーズで紹介した物件も、かなり多く取り上げられています。

路上観察学入門 (ちくま文庫)
路上観察学入門 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • レーベル: 筑摩書房
  • スタジオ: 筑摩書房
  • メーカー: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 1993/12
  • 売上ランキング: 43224
みちくさ的には同書は一度読んでおくべき古典のひとつです。トマソン、看板建築、マンホールなど、路上観察の楽しみがいかにみちくさ散歩を楽しませてくれるかを一冊にまとめています。若者が集まっておもしろおかしく、路上観察を楽しんでいる感じが伝わってきます。

超芸術トマソン (ちくま文庫)
超芸術トマソン (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • レーベル: 筑摩書房
  • スタジオ: 筑摩書房
  • メーカー: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 1,155
  • 発売日: 1987/12
  • 売上ランキング: 30014
トマソンを学ぶ基本テキストのひとつですが、看板建築もなぜか取り上げられています。看板建築の発見者である藤森先生が若い頃にトマソンと接近遭遇しながら、看板建築のおもしろさを見いだしていく感じが楽しい一冊です。

建築探偵の冒険〈東京篇〉 (ちくま文庫)
建築探偵の冒険〈東京篇〉 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • レーベル: 筑摩書房
  • スタジオ: 筑摩書房
  • メーカー: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 1989/12
  • 売上ランキング: 192471
看板建築開祖の藤森先生といえば、別名建築探偵。同書は建築探偵として二十三区内を駆け巡る活動の記録が綴られています。もちろん看板建築に関するエピソードも紹介されています。そして建築探偵の活動はどんどん全国に広がっていったのです。

新装版 東京建築ガイドマップ
新装版 東京建築ガイドマップ
  • 発売元: エクスナレッジ
  • レーベル: エクスナレッジ
  • スタジオ: エクスナレッジ
  • メーカー: エクスナレッジ
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2010/08/30
  • 売上ランキング: 375231
建築マップのような本は数多くありますが、看板建築まで紹介してくれている本はあまりありません。この本は比較的多く、看板建築をピックアップしてくれているのでありがたいガイドブックです。

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)
日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)
  • 発売元: 岩波書店
  • レーベル: 岩波書店
  • スタジオ: 岩波書店
  • メーカー: 岩波書店
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1993/11/22
  • 売上ランキング: 87765
看板建築をたどっているうち、同潤会の建物や復興小学校について知ることになります。また、明治以降の洋風建築の流入が看板建築という大きな動きのきっかけになったことを考えれば、一度明治以降の建築の流れを押さえておくのもいいでしょう。少しアカデミックですが、もっておいて損はない一冊です。

東京都市計画物語 (ちくま学芸文庫)
東京都市計画物語 (ちくま学芸文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • レーベル: 筑摩書房
  • スタジオ: 筑摩書房
  • メーカー: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2001/03
  • 売上ランキング: 77081
後藤新平: 大震災と帝都復興 (ちくま新書)
後藤新平: 大震災と帝都復興 (ちくま新書)
  • 発売元: 筑摩書房
  • レーベル: 筑摩書房
  • スタジオ: 筑摩書房
  • メーカー: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 2011/11/07
  • 売上ランキング: 38733
実際に看板建築を探しに行こうと思い立ったらぜひ読んでおきたい2冊。というのも、関東大震災後の都市計画が看板建築の残り具合に大きく影響しているからです。看板建築のある場所は「関東大震災後の再開発」によることが多く、「戦後の道路拡張はされていない」というバランスの上になりたっています。環7や環8はあるのに、環1や環3が見当たらない理由など面白いエピソード満載です。

東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方
東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方
  • 発売元: 日本文芸社
  • レーベル: 日本文芸社
  • スタジオ: 日本文芸社
  • メーカー: 日本文芸社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/12/24
  • 売上ランキング: 24528
東京にはたくさんの階段があります。車を通すことのない高低差をショートカットした階段をたくさん見ているうちに町歩きのおもしろさはどこにでもあることが分かります。氏のホームページでは最新階段ライブラリーが日々追加されているので合わせてチェックです。

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩
凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩
  • 発売元: 洋泉社
  • レーベル: 洋泉社
  • スタジオ: 洋泉社
  • メーカー: 洋泉社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2012/01/31
  • 売上ランキング: 2627
看板建築コレクター山崎は、スリバチ学会の町歩きに参加することがきっかけでした。実は、古い川筋(今は暗渠化していることが多い)に古い商店街と商店通りがあり、看板建築がたくさん残されているからです。東京の高低差を楽しむスリバチ本も散歩に役立つ一冊です。

■おまけ;ちょっとお高い写真集

昭和を振り返る写真集をめくると、けっこうたくさんの看板建築に出会えます。お値段がお高いのが難点ですが、興味のある方には以下の写真集等をオススメします。
近代建築再見
近代建築再見
  • 発売元: エクスナレッジ
  • レーベル: エクスナレッジ
  • スタジオ: エクスナレッジ
  • メーカー: エクスナレッジ
  • 価格: ¥ 3,990
  • 発売日: 2010/09/29
  • 売上ランキング: 640862
大東京写真案内
大東京写真案内
  • 発売元: 博文館新社
  • レーベル: 博文館新社
  • スタジオ: 博文館新社
  • メーカー: 博文館新社
  • 価格: ¥ 2,940
  • 発売日: 1990/09
  • 売上ランキング: 327837
東京の消えた風景 (ショトルライブラリー)
東京の消えた風景 (ショトルライブラリー)
  • 発売元: 小学館
  • レーベル: 小学館
  • スタジオ: 小学館
  • メーカー: 小学館
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/02
  • 売上ランキング: 68406
鉄道今昔よみがえる都電―車両・停留場・街角の記憶
鉄道今昔よみがえる都電―車両・停留場・街角の記憶
  • 発売元: 学研パブリッシング
  • レーベル: 学研パブリッシング
  • スタジオ: 学研パブリッシング
  • メーカー: 学研パブリッシング
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2011/06
  • 売上ランキング: 421713




  • 山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)

  • 趣味ホームページ 8th Feb.

  • オフィシャルHP financialwisdom

  • 1972年生まれ。本業はファイナンシャルプランナー。資産運用とか年金のことを分かりやすく書いたりしゃべるのが仕事。副業はオタク。ゲーム・マンガ・街歩きを同時並行的に好む。所属学会は日本年金学会と東京スリバチ学会。Twitterアカウントは@yam_syun