さて今回はひさびさにお寺の境内にある坂道をとりあげてみたいと思います。
しかもこの境内にある坂というのが、実は富士見坂シリーズのなかではなかなかめずらしい存在でもあるようで、前に御茶ノ水にある女坂をとりあげたことはありましたが、あれは実のところ名前だけのものでお寺とはなんの関係もなかったわけでして。

で、今回の坂道の場所ですが、タイトルにもあるとおり大田区にある池上本門寺という有名なお寺の境内にあり、本殿の裏手から西の方へと下る急勾配の階段で現在は「大坊坂」という名でよばれている坂道です。
(※池上本門寺とはここで詳しく書いてもなんですので、お寺の公式サイトの説明によると『池上本門寺は、日蓮聖人が今から約七百十数年前の弘安5年(1282)10月13日辰の刻(午前8時頃)、61歳で入滅(臨終)された霊跡です。』とのこと。)

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写真1


まずは、坂下エリアより坂上の方を眺めてみたのがこちらです。(写真1)
実はもうすでにここから坂上のてっぺんまで見えていたりします。
なので、ここはもう見たままなのですが坂下から坂上まで一直線の階段坂道で、写真では見にくいですが、途中に5段も踊り場があります。
まわりはお墓ばかりで、池上本門寺のメインの参道でもないためか、人通りも少なくかなりひっそりとしている印象でした。
ただかつては、今の参道(此経難持坂)が1606年(慶長11年)に新たにつくられるまでは、メインの参道だったそうです。

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写真2


次は、すこし階段を上り、坂下のほうを見たものです。(写真2)
まわりにはお寺関連の施設も点在していて、奥に見えるマンションと手前の建物の屋根の傾き具合のコントラストがなんともおもしろい感じ。
また写真でもちらりと見えているのですが、ここにもいつものように坂の碑があり、『『新編武蔵風土記稿』に「大坊坂方丈の右の坂なり、大坊へ行く道なればこの名あり。」と記されている。本門寺山内西隅の石段坂で坂下に大坊と呼ばれる本行寺がある。』とありました。
ちなみに「大坊と呼ばれる本行寺」というお寺は、写真2でいえば、坂下の右側あたりに今も現存しています。


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写真3


せっかくなので、そのお寺の入口も撮ってみました。(写真3)
立派だし、整備された感いっぱいですね。
(※公式サイトによると、このお寺は『日蓮宗本山・池上大坊本行寺は、日蓮宗の宗祖である日蓮大聖人がご入滅、すなわちご臨終された地(ご霊場)。大聖人3大聖地の1つともされています。』とのこと。)

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写真4


話は坂道にもどり、さらに階段を上り、坂の中服あたりまでやってきました。(写真4)
まだ道のりなかばですね。
手元の資料によれば全部で78段の階段坂道とのこと。
今はその半分くらいの場所です。

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写真5


今度はすこしだけ階段を上り、坂下のほうを眺めてみました。(写真5)
もうすでに坂下のほうは遙かかなたという感じ。
まわりは元気な樹々に囲まれていて、遠くは見渡せませんでした。
そして・・・・。

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写真6


写真5の一番手前の踊り場の右側にはこんなものがありました!(写真6)
なんでも江戸時代(文政11年(1828))に建立された「宝塔(日蓮聖人御荼毘所)」という仏塔で、現在は東京都指定有形文化財にもなっているそうです。
しかも最近、あらたに色塗りされたらしく、つい近頃建てられたもののようにぴかぴかきれいでした。

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写真7


そんなわけで、一気に坂上までやってきました。(写真7)
もうここまでくると、建物何階分とか調べる気力もないですけど、もし単純に階段1段の高さ(蹴上)が最低で20cmくらい(たぶんもっとありそうでしたが)だとしたら、さっきの78段を考慮するとだいたいこの場所は15~16mほどの高低差ということになりますかね・・・。
ということはビルでいえば4階か5階分くらい?
なんだかそれ以上の高低差感覚がありますけど、そんなものなんでしょうかね。

そして、もうひとつ忘れてはならないことが、この階段がちょうど西側へと下る斜面にあり、ちょうど富士山方向に開けた場所であるということです。
写真7でいえば、左上あたりに樹木が生い茂っていなければ富士山がみえるはずなんですよ。
なので冬にくれば、もしかしたら見えるのかもしれないですね。(いちおう調べてみたらネットでもすでに写真アップされている方いましたので時期があえば見えるはず。)
そんなわけで、昔ならもっと圧倒的にここから富士山見えたはずなので、そういうことからも大坊本行寺やらあの真っ赤な宝塔も、もしかしたらそういう富士山との関係も考慮してこの位置に建てられた可能性もあるかもしれないですが、そのあたりの真相やいかに。(笑)


住所
大田区池上2




  • 雲本らて

  • 東京坂道さんぽ

  • 1973年7月、兵庫県(というか神戸)生まれ、♂(男性です)。世田谷区在住。
    現在は「東京坂道さんぽ」というブログを運営しながら、坂道観察などを続けています。