記事4saka1
都内でいちばん高低差のある自然の坂道かも
今回はタイトルにもあるとおり、高低差25.7mというちょっと数値をきいただけではピンとこない坂道をとりあげてみます。

場所は東京タワーのちょっと北側の港区内というか愛宕山にある坂道です。港区の愛宕山(同名の山もたくさんあります)といえば、頂上には愛宕神社が祀られ、江戸時代から見晴らしのいい名所としても知られている場所で、歌川広重の『名所江戸百景』でも描かれ、当時は東京湾や房総半島までも眺めることができたらしいです。ただ現在はビルがじゃましてまわりはなにも見えません。それでも知る人ぞしるというか、東京23区内において自然の山としては最高峰の標高をほこっている山だそうです。
なので、この標高差が25.7mという数値なわけで、写真のちょうど階段下から階段上あたりまでがおそらくそれくらいの高低差になると思われます。
ちなみに、この階段は「出世の石段」とよばれていて、江戸時代に曲垣平九郎なる人物がここを馬で上り下りしたというびっくりエピソードがもととなって呼ばれるようになったそうです。
記事4saka2
そんなわけで、高所恐怖症のかたにはもうしわけないというしかない写真を2枚目にえらんでみたのですが、1枚目の写真同様に愛宕神社の境内にある階段の頂上からの眺めです。

いちおうというか必然というか、この階段は愛宕神社の本殿にいくためのメイン階段(参道)でもあるため「愛宕男坂」という立派な坂名が昔からつけられています。
とにかくありえないくらいの急勾配で長い石段です(案内看板には86段と書いてありました)。
記事4saka3
また愛宕男坂のすぐ横には「愛宕女坂」とよばれる、男坂よりもすこしだけゆるい勾配のくねくねした階段があります(3枚目の写真ですね)。
男坂といえば女坂といわれるくらい、今回の愛宕神社のような高台にある神社に登っていく階段には、このような対の名前がつけられていることが多いです。
男坂はけわしい急勾配な坂、女坂はなだらかな坂といった具合にですかね。
でもおたがいにあがる高低差はかわらないみたいなので、女坂のほうが歩く距離は長くなるパターンが多いようです(現実の男女の関係がそうであるかはここではとりあえずおいておくとして・・・)。

そして、この男坂、女坂以外にも愛宕山には「愛宕新坂」とよばれる第3の坂道がすこし離れた場所に存在します。いつからあったのかは不明ですが、現在は山頂にある神社やそのそばにあるNHK放送博物館に車で上り下りするために山の斜面にそってゆるやかな勾配でつくられた距離の長い坂道となっています。
記事4saka4
そんなわけで、三つのバラエティーにとんだ坂道に神社と史実、そしてNHK放送博物館。さらに頂上から一気に下りることのできるなかなかかっこいいつくりのエレベーター(4枚目の写真がそれですね。おそらく身障者対策だとは思われます)に乗れば、現在の山頂からの景色を一瞬ですけど、楽しむこともできます。
とにかく、この愛宕山、坂道散歩とあわせてぶらりとしてみるとなかなかおもしろいですよ。




  • 雲本らて

  • 東京坂道さんぽ

  • 1973年7月、兵庫県(というか神戸)生まれ、♂(男性です)。世田谷区在住。
    現在は「東京坂道さんぽ」というブログを運営しながら、坂道観察などを続けています。