前回提唱した「いわてトマソンデスティネーション」。JRグループとは全く関係ない観光キャンペーン。提唱者は僕、提携先は一切なし。
既にJRはいわてデスティネーションキャンペーンが終了し、今は北海道デスティネ-ションキャンペーン「心にくる旅。キュンと北海道」に移行しましたが、我々みちくさ学会トマソンカテゴリは引き続きいわてトマソンデスティネーションを推進します。無期限で「岩手(のトマソン)最高!」と訴え続ける所存でございます。
 前回は盛岡エリアを中心にご紹介しましたが、今回は違う場所として岩手和井内、雫石、宮古の物件紹介と岩手県内にはなぜこんなに高所ドアタイプのトマソンがあるのか?という事について考察していきます。これで夏休みの旅行先はばっちりですね。

※以下は2011年7月時点での情報です。現在ない物件があるかもしれません。ご了承の上お楽しみ下さい。
※地図上の位置は実際の物件と少々ずれが生じております。ご了承下さいませ。




(1)岩手和井内



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 あまり耳慣れない場所かとは思いますが、JR岩泉線の岩手和井内駅というところのそばにも高所ドアがありました。

 ここに訪れたのは、まことに残念ながら今年3月に鉄道の廃止が決定されたJR岩泉線の秘境駅、押角を見に行くついでだったのですがこんなところにもトマソンがあるのか、と感心したものです。

 岩泉線がなくなるのでここへ訪れるのは難しそうですが、鉄道の代わりにバスを運行するそうです。

 この高所ドアですが、なかなかうまいアングルが取れず少々分かり辛いのですが、2階にあるドアは物干し場に行く事も下に降りる事もできず、只外に出るのみというものです。「屋根に出る」という用途だと言うのならばトマソンではないのですが、果たしてそのような事のためにわざわざドアをこしらえるのでしょうか。



(2)宮古



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 港町宮古市でコンビニに立ち寄ったついでに偶然発券したのがこちらの高所ドア。

 商店の倉庫なのであろうか、という建物に何食わぬ顔して鎮座してる高所ドア。屋根すれすれに位置するこのドアも、一体何のためにあるのかさっぱりわかりません。昇降に使った跡も伺えないし、そもそもこのドアが面している道路はあまり広くはないので、ここに階段があった、というのはちょっと無理があるのではないかと思います。
 しかし、倉庫にある搬入口のような用途として作った、と考えるにはあまりにも幅が狭いのです。両開きにしてあるのなら私もトマソンとしては捉えなかったのですが、このルックスはなかなかに微妙で可愛いです。



(3)雫石




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 盛岡から山側に行った雫石にもありました。まだそれほど築年数が経っていなさそうな綺麗な住宅にしっかりとドアがあります。しかも高さが微妙で降りる先が全くありません。これは本当に、謎。下に降りるためとは到底思えないし、階段なんて指しよからなかったように思えます。はてさてこれはどうした事でしょうか。






 盛岡以外のトマソンをご紹介してきましたが、全て高所ドアです。そして盛岡も高所ドアが非常に多かったです。これは一体何ででしょうか。ちょっと考えてみましょう。



 2回に渡って岩手県のトマソンをご紹介してきました。そしてその殆どは高所ドアと呼ばれるトマソンです。
 改めてご説明すると、高所ドアというのは1階より上にドアがあるのですが、そこへ出入りする事や何かの用途を想定して作った事が考え辛いもの、です。なぜそのようなものが岩手にはやたらとあるのか。岩手県ならではの理由が何かあるでしょうか。


 考えられるのは、「雪」です。東北と言えば冬季の厳しい寒さが連想されます。したがって積雪が凄かった場合に2階部分のドアから出入りするために作られたものなのだから、夏に見に行ったらトマソンなのだけど冬に行くときちんと使っているのではないか、という推測です。

 しかしどうやらこれは岩手県には当てはまらなそうです。その根拠として、気象庁の統計情報を参照してみましょう。場所は高所ドアが多かった盛岡にします。(気象庁の統計情報ページはこちら)。

 過去30年間の月毎平均積雪量が記載されているのですが、「積雪の深さ」というとこを見てみると、12月で19cm、1月で29cm、2月で35cmです。これではわざわざ3mくらいの高さにドアを作って備える、という推測はあてはまりません。

 盛岡に住んでいた友人に話しを聞くと、どうやら雪は降るのですが風も強く、盛岡にはあまり雪が積もらないそうなのです。
 私は盛岡に住んだ事がないのでもしかしたら積もる場所もあるのかもしれませんが、気象庁のデータで見る限り盛岡全体で考えるとそのような場所はレアケースなのではないか、という事になると思います。


 ではなぜ高所ドアが多いのか。それはやはり、イーハトーブだから、ではないでしょうか。「そんな訳ないだろう」というご指摘が多々あるかと思いますが、そういう方は是非岩手に足を運んで、高所ドアがついている建物に言行って、そこにお住まいの方にお話しを伺ってみて頂きたい。そして、足を運んでみると無骨にも見える町の中に点在する高所ドアをはじめとするトマソンが、見える人にだけ分かるイーハトーブ的とも思える不思議な世界を構築しているその様を感じて頂けると思います。
 つまりは私にとっても謎なのですが、謎は謎のままとして楽しむ方、なんとか解明したい方、いろんな方がいるでしょうから、ここではこの程度の推測に留めておきます。皆さんの推測投稿大歓迎でございます。


 さぁ皆さん、岩手県に行きましょう。みちくさ学会視点の岩手を堪能しましょう。



 最後に謝辞を。この記事を書くにあたって岩手県のトマソンの数々を教えてくれた、ブログ「上を向いて歩こう」管理人にして数々のHNで自転車、自作リカンベント、廃墟、トマソン、ケイビングなど様々な活動をしていた今は亡き友人、 telavivさんことjerusalemさんことdetestationさんことMさんにこの記事を捧げます。あなたがいなければ絶対に書けない記事でした。いろんなものを見せてくれて本当に、ありがとうございました。






  • 川浪 祐

  • From Basshead For

  • 1975年生まれ。中学生の頃父親の書棚にあった「超芸術トマソン (ちくま文庫)」を読んでしまい、トマソン探しの人生を送るようになる。元々は音楽やフェスの話などをしていたブログも今ではすっかり路上観察一色。