9月を迎えまちあるきがしやすくなるこの季節。ダンメン探しに出かける方もいると思われます。今回は見落としがちなテンシャタイプのダンメンについてお話しましょう。
まずはテンシャについておさらいしておきましょう。
「町家にぴったりくっつくようにビルが建てられる。すると町家で隠されている壁には何も仕上げができないわけですから、この町家が取り壊されるとなにも仕上げがされていない壁が出てきます。ちょうど町家でマスキングしたような形、これがテンシャ生まれたての姿。後になんらかの仕上げがされるのですが、時折はがしたまんまというテンシャも見られます。」(「消えた町家を追えーテンシャ」より)

このマスキングされた形がはっきりわからない状態だとテンシャタイプのダンメンは見付けづらくなります。例えばシルエットがぼんやりとしている場合。
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マスキング効果でわずかに外壁の焼けや汚れ具合に差が出ている場合。建物の影なのかダンメンなのか見分けがつかないことも。
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またキチンと補修されている場合はダンメンのプロ(?)であってもつい見逃してしまうものです。さて、わかりますか?
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これらはおやっ?と思ったら壁が光を反射する角度から見てみること。すると反射の違いからダンメンが浮かび上がってくることがあります。
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あるいはわずかについた筋からわかることもあります。
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塗装での補修の場合は壁面一面に同じ色を塗ってしまえば済むのですが、これがタイルや左官になると色合わせは至難の業です。ダンメンの見つけにくさはダンメンを補修した業者の技量の高さを表しているとも言えるでしょう。
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他にも隙間に隠れていたり、小さすぎてわからないこともあります。
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最後に特にみつけにくいダンメンを三題。
建物の模様と間違えがち。注意!
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小さい上、タイルの補修が絶妙なのでつい見逃しがち。注意!
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そして最後にこのダンメン。雨の日だけ継ぎ目に雨が染みてシルエットが現れる。あなどれじダンメン。
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アンテナをピンッ!と張ってまちを歩いてみよう。思わぬところにダンメンが隠れているかもしれない。そしてそれはダンメンに限らないかも。