前回に引き続いて皆さんから頂戴した投稿作品の発表、第5回目です。前回と今回の掲載作品、全11作についての総括コメントをトマソン界の鉄人衣笠もしくはアニキ金本、長きに渡ってトマソニアンの第一線にいる偉大なる選者の吉野忍さんから頂く事が出来ましたので、どうぞ。
吉野忍
トマソン・リンク」「(東京福袋)」管理人。
Twitter ID:@FUKUBLOG

今回の特色は、高所ドアとか無用門とか既存のカテゴリーに収まりきれない物件が多かったことだと思います。ものごとの観察や収集を続けていくとどうしてもカテゴリー化したくなるのが人間の性で、まあ科学もそのおかげで発展してきたんでしょうが、カテゴリー化は反面物件に対する素直な驚きをそぎ落としてしまう作用もあるなと常々思っております。「ああ無用門ね」「ああ高所ドアね」てな具合に。今回のようなどのカテゴリーにも収まらない、あるいは複数のカテゴリーに属する、カモノハシのような物件を見ると、どこがどうおかしいのか、どうしてこんな形になったのかと頭がフル回転するのを感じます。そんなわけで今回の物件には大変興奮させられました。

 なるほど、確かにそうですね。今までみちくさ学会のトマソンカテゴリでは色々な分類をして分かりやすくトマソンに触れて頂こう、という取り組みをしてきましたが連載も2年を超え、分類しきれないような素敵物件に目を向ける方々が増えてきたのかなぁ、と感慨もひとしおです。
 もちろん、従来の分類で分けられる物件も変わらずお待ちしていますので引き続きご投稿下さいませ。

 それでは今回の6作品です、どうぞ!



1.コダマさん「横須賀で見つけた純粋階段」






(1)発見者:コダマ(Twitter ID:@Tadahiro_Kodama)さん
(2)物件の場所:横須賀市
(3)発見日時:2011年11月12日
(4)発見についてのコメント:横須賀で見つけた純粋階段です。車の部品を立掛けているので、一応は役に立っているのでしょうか?

吉野 忍さんからのコメント
階段の状況がよくわかりませんが、幅がかなり狭そうですね。階段をとりはらった跡でしょうか。階段の横の黒い部分や左の茶色い部分は開口部を板で塞いであるのでしょうか。駐車場になる前にあった建物がどんな建物だったのか、謎が深まる仕掛けがいっぱいあって興味深い物件です。



2.駅からマンホールさん「階段の亡霊・浦賀」




(1)発見者:駅からマンホール (Twitter ID:@Ekikaramanhole Web:「駅からマンホール」) さん
(2)物件の場所:横須賀市浦賀3-1-1 浦賀駅第2自転車等駐車場
(3)発見日時: 2012年4月8日
(4)発見についてのコメント:階段があったような痕跡が残っていますが、その痕跡も石垣の途中で止まっています。仮に階段が残っていたとしてもそれはそれでトマソンだったのではないかと思われます。

吉野 忍さんからのコメント
これだけで美しく完成していますね。フェンスで囲まれた中に建物があって、その階段だったんでしょうか。それにしても勾配が急すぎるのが気になります。もしかしたら階段以外のものなのかも、と思わせる物件です。



3.ダーハラさん「横浜市鶴見区の高所ドア」




(1)投稿者:ダーハラ
(2)物件の場所:横浜市鶴見区下野谷町4-129付近
(3)発見日時:2012年4月13日
(4)発見についてのコメント:物件の前がコインパーキングで、駐車時に物件を偶然発見しました。
画像では分からないと思いますが、この高所ドアは3階部分です。しかも、その3階が手作り感のある建築で感動しました(違法増築か?)
この町は他にも色々なトマソン物件がありそうな香ばしい地域だと思います。

吉野 忍さんからのコメント
3階は増築した感じですね。増築した時にアンテナのメンテ用にドアが必要と思ったのでしょうか。興味深いのは3階は一旦切妻屋根にしておいて後から片流れにしたっぽいところです。壁面の上の方は継ぎ足してますし、切妻屋根の一部が残ってます。



4.加賀ヒロツグさん「階段トマソン」




(1)発見者:加賀ヒロツグ(Web:CLARK LOG)さん
(2)物件の場所:新潟県新潟市 JR新潟駅
(3)発見日時: 2012年4月16日
(4)発見についてのコメント:JR施設のトマソンです。「テトリス階段」と名付けてみました。

吉野 忍さんからのコメント
これは見事な無用階段ですね。なぜ赤く塗る必要があったのかも謎です。



5.駅からマンホールさん「名古屋の交差するダンメン」

写真1


写真2

写真3


(1)発見者:駅からマンホール (Twitter ID:@Ekikaramanhole Web:「駅からマンホール」) さん
(2)物件の場所:名古屋市中村区那古野1-45
(3)発見日時: :2012年1月9日

(4)発見についてのコメント:
写真1: ダンメンです。残っている建物の幅は車1.5台分くらい。中央の鬼瓦には元々この幅の建物だった形跡も見えますが、左側に続く屋根の形状を見ると、駐車場側に広がる建物だったようにも思えます。

写真2: 同じ物件です。道が狭いので一度にうまく全景を撮影できません。駐車場になった角地に交差するダンメンが出現することはよくありますが、右奥の建物も色の違うダンメンになっています。地図を見ると左の建物と右奥の建物は別の建物ということになっているようですが、そうすると左の建物の入り口はどこなのでしょうか。中の人は無事でしょうか?

写真3: なんとか全景を一枚に撮影しましたが、この写真では左側の建物の幅がわかりにくいですね。ところで、右手前の建物の構造も不思議な感じがします。一種の看板建築でしょうか。家がコンクリートブロックに飲み込まれたような形状です。

どういった順序で家を建てたり壊したりするとこのようになるのか、想像は膨らみますが解答が出せません。

吉野 忍さんからのコメント
これは見事な。ダンメンが3つ交錯しているんですね。奥の茶色いダンメンの位置関係がよくわかりませんが、角の部分が若干駐車場側に飛び出してませんか?



6.駅からマンホールさん「実用化し消滅するトマソン」



(1)発見者:駅からマンホール (Twitter ID:@Ekikaramanhole) Web:「駅からマンホール(http://ekikaramanhole.whitebeach.org/)
(2)物件の場所:文京区本郷4-33-10 (株9飯島さんの倉庫
(3)発見日時: :2011年11月27日
(4)発見についてのコメント:仮設橋の反対側の土地は長らく駐車場になっていたようですが、現在は新しい建物を建築中です。どうやら昔存在したらしい渡り廊下が久方ぶりに復活するようです。トマソンがトマソンでなくなるとき、この橋は希望の架け橋となるのでしょうか。

吉野 忍さんからのコメント
あ、よく見たらこの場所は知ってる! 石垣のどれかの石を押すとはしごが現れるんじゃないか、と同行者と話した覚えがあります。トマソンが用途を得て実用の物になる貴重な瞬間ですね。トマソンが実用性を回復することなどないと思ってました。今どうなってるか見にいきたいです。


トマソン投稿、引き続きお待ちしております。「これはトマソンなの?」という程度のものでも構いませんので、あまり構えずに気軽にお送り下さいませ。投稿についてはこちらの記事を読んで下さい。 

また、「トマソンって何?」という方はトマソン1回目の記事「もう一度、トマソンの話をしよう」をあわせてお読み下さいませ。






  • 川浪 祐

  • From Basshead For

  • 1975年生まれ。中学生の頃父親の書棚にあった「超芸術トマソン (ちくま文庫)」を読んでしまい、トマソン探しの人生を送るようになる。元々は音楽やフェスの話などをしていたブログも今ではすっかり路上観察一色。