
今回は名古屋を中心とした中京圏の銭湯の特色をご紹介したいと思います。
浴場施設のハードな面の特色をご紹介する訳ですが、もちろんこの地域はコレといった決まりがあるわけでは無くて他の地域との渾然としたものではあります。
それでも他の地域の人々からみたら「へぇ~」っていうのがあるわけです。
よく関東と関西との銭湯の違いでいわれるものに浴槽配置や脱衣籠の違いなどがありますが、中京圏でも色々な特色があります。
そんなわけで今回は同じ所も違う所も合わせてご紹介していきたいと思います。
上の写真は名古屋市の郊外、蟹江町の橋本湯。
蟹江川沿い、橋を渡った正面に建つ佇まいの良い銭湯であります。
さて、まず外観でありますが、町屋風なもの、レトロな洋風建築のものから現代風ビル銭湯までさまざま、唐破風のついた入口はありますが特に名古屋風というような物はありません。
因みに東京の寺社風建築のような物はほとんど見られないようです。
この地域で時折り比較的大きな銭湯に見られる特徴として、木造やモルタルの洋風、和風の脱衣所棟に鉄筋コンクリート製で浅いドーム型になっていたりする浴室建物を合体させた浴場がみられます。

▲ コンクリート製の浴室棟。中央に四角い湯気抜きがみられる。左手が脱衣所棟に続いている。
東京銭湯などでは2段になった湯気抜き屋根のある浴室と脱衣場棟の一体型の建物になっている事が多いですが、中京圏ではこのようなふたつの建物を合体させた浴場も多く見られます。
後述しますが、この特徴が内部にも表れています。
入口は外から男女左右に分かれている浴場が多く、左右に男湯女湯の暖簾がかかっています。

下のような暖簾が一枚掛かり入口が奥まっているタイプでも中で扉が男女で左右に分かれています。

中に入るとたいていはいきなり脱衣場になっています。
下足場所は脱衣所内の入口近くの壁側などにある事が多く、番台から下足箱も見えるようになっています。
下足箱の蓋にも特徴があり、金属製で装飾のデザイン沿いに肉抜きされて中の見える蓋が使われている浴場やアクリル板で中が見える蓋の所もあります。
蓋は左右開きの他に上に跳ね上げ式の物もありました。

中へ入ると番台はちょっと低め。
なので女湯側には衝立やカーテンが掛かっています。
脱衣ロッカーは外壁側に造り付けの木造の物が多く、蓋に数字がふられていたり、下足箱のように少しだけ中の見える蓋になっている浴場もあります。
脱衣籠を併用している事も多く、丸い籐の籠が用いられています。
さて浴室ですが、その前にこの地域最大の特色が控えています。
脱衣場と浴室との間にはこんなスペースが設けられています。

浴室の扉の手前にタイル張りの緩衝地帯とでもいう感じのスペースがあるのです。
たいてい蛇口付きの流しが備えられており、ここで上がって来たらタオルを絞ったり身体を拭いたりする所なのだそうです。
因みに名古屋の友人に聞くと昔からどこの風呂屋でも見られる当たり前の構造だといい「関東の銭湯にはこんなスペースは無いぞ」というと「じゃ、上がったらどこで身体を拭くんだ?」といわれてしまいました(笑)
因みにこのスペースが外から見た脱衣所棟と浴室棟との境の位置にあたるようです。
少し大きな浴場になるとこの位置に半分ほどガラスで囲まれた外スペースがあり坪庭になっていたりします。
この庭などは建物の継ぎ目であり、一体型では無いからこそ出来る構造なのだと思います。
現在はこの庭スペースをサウナ室に転用している浴場も多く、元々の浴室に張り出さないので広さが保ててなかなか使い勝手の良い造りといえます。
上の写真はレトロ銭湯敷島湯の緩衝地帯。
外ではないが小庭を配している。右手に流しがあり、入浴時は利用者が各々手前に置かれた桶を持って浴室に入るようになっています。
この特徴的な緩衝地帯ですが、もちろん一体型建物の銭湯にもこのスペースはほぼ存在しています。
浴室は中央に浴槽+奥壁側にも浴槽、または男女浴室の境壁に沿って浴槽、という構造が多く、関西風プラス関東風ともいえる造りになっています。

センターの浴槽はたいていふたつに仕切られており、深浅や湯温の高低の違いがつけられていたりします。
奥壁側にある浴槽はたいてい薬湯などの浴用剤を用いた色物湯や電気風呂、座ジェットなどの仕掛け湯になっていたりします。
浴室内のビジュアルはタイル絵がある場合もありますが、たいていの場合壁側はカラン列になっており、絵がある場合も小さめの物がほとんどのようです。
カランは古いタイプの物が使われている浴場も多く、中には湯のカランのみの浴場もありました。

今回は名古屋・中京圏の銭湯の特色をご紹介しましたが、所変われば品変わる、ではないですが、銭湯も普段自分が生活している圏内と違う地域で利用して見ると、色々な違いがあってなかなか興味深いものであります。
他の地域でのみちくさの行程には銭湯への入浴も入れてみてはいかがでしょうか。
その地域の人々の生活の一端を体験する事が出来、有意義な体験が出来ると思いますよ。
次回は実際に歩いた名古屋を中心とした中京圏のレトロ銭湯をご紹介したいと思います。

浴場施設のハードな面の特色をご紹介する訳ですが、もちろんこの地域はコレといった決まりがあるわけでは無くて他の地域との渾然としたものではあります。
それでも他の地域の人々からみたら「へぇ~」っていうのがあるわけです。
よく関東と関西との銭湯の違いでいわれるものに浴槽配置や脱衣籠の違いなどがありますが、中京圏でも色々な特色があります。
そんなわけで今回は同じ所も違う所も合わせてご紹介していきたいと思います。
上の写真は名古屋市の郊外、蟹江町の橋本湯。
蟹江川沿い、橋を渡った正面に建つ佇まいの良い銭湯であります。
さて、まず外観でありますが、町屋風なもの、レトロな洋風建築のものから現代風ビル銭湯までさまざま、唐破風のついた入口はありますが特に名古屋風というような物はありません。
因みに東京の寺社風建築のような物はほとんど見られないようです。
この地域で時折り比較的大きな銭湯に見られる特徴として、木造やモルタルの洋風、和風の脱衣所棟に鉄筋コンクリート製で浅いドーム型になっていたりする浴室建物を合体させた浴場がみられます。

▲ コンクリート製の浴室棟。中央に四角い湯気抜きがみられる。左手が脱衣所棟に続いている。
東京銭湯などでは2段になった湯気抜き屋根のある浴室と脱衣場棟の一体型の建物になっている事が多いですが、中京圏ではこのようなふたつの建物を合体させた浴場も多く見られます。
後述しますが、この特徴が内部にも表れています。
入口は外から男女左右に分かれている浴場が多く、左右に男湯女湯の暖簾がかかっています。

下のような暖簾が一枚掛かり入口が奥まっているタイプでも中で扉が男女で左右に分かれています。

中に入るとたいていはいきなり脱衣場になっています。
下足場所は脱衣所内の入口近くの壁側などにある事が多く、番台から下足箱も見えるようになっています。
下足箱の蓋にも特徴があり、金属製で装飾のデザイン沿いに肉抜きされて中の見える蓋が使われている浴場やアクリル板で中が見える蓋の所もあります。
蓋は左右開きの他に上に跳ね上げ式の物もありました。

中へ入ると番台はちょっと低め。
なので女湯側には衝立やカーテンが掛かっています。
脱衣ロッカーは外壁側に造り付けの木造の物が多く、蓋に数字がふられていたり、下足箱のように少しだけ中の見える蓋になっている浴場もあります。
脱衣籠を併用している事も多く、丸い籐の籠が用いられています。
さて浴室ですが、その前にこの地域最大の特色が控えています。
脱衣場と浴室との間にはこんなスペースが設けられています。

浴室の扉の手前にタイル張りの緩衝地帯とでもいう感じのスペースがあるのです。
たいてい蛇口付きの流しが備えられており、ここで上がって来たらタオルを絞ったり身体を拭いたりする所なのだそうです。
因みに名古屋の友人に聞くと昔からどこの風呂屋でも見られる当たり前の構造だといい「関東の銭湯にはこんなスペースは無いぞ」というと「じゃ、上がったらどこで身体を拭くんだ?」といわれてしまいました(笑)
因みにこのスペースが外から見た脱衣所棟と浴室棟との境の位置にあたるようです。
少し大きな浴場になるとこの位置に半分ほどガラスで囲まれた外スペースがあり坪庭になっていたりします。
この庭などは建物の継ぎ目であり、一体型では無いからこそ出来る構造なのだと思います。
現在はこの庭スペースをサウナ室に転用している浴場も多く、元々の浴室に張り出さないので広さが保ててなかなか使い勝手の良い造りといえます。

外ではないが小庭を配している。右手に流しがあり、入浴時は利用者が各々手前に置かれた桶を持って浴室に入るようになっています。
この特徴的な緩衝地帯ですが、もちろん一体型建物の銭湯にもこのスペースはほぼ存在しています。
浴室は中央に浴槽+奥壁側にも浴槽、または男女浴室の境壁に沿って浴槽、という構造が多く、関西風プラス関東風ともいえる造りになっています。

センターの浴槽はたいていふたつに仕切られており、深浅や湯温の高低の違いがつけられていたりします。
奥壁側にある浴槽はたいてい薬湯などの浴用剤を用いた色物湯や電気風呂、座ジェットなどの仕掛け湯になっていたりします。
浴室内のビジュアルはタイル絵がある場合もありますが、たいていの場合壁側はカラン列になっており、絵がある場合も小さめの物がほとんどのようです。
カランは古いタイプの物が使われている浴場も多く、中には湯のカランのみの浴場もありました。

今回は名古屋・中京圏の銭湯の特色をご紹介しましたが、所変われば品変わる、ではないですが、銭湯も普段自分が生活している圏内と違う地域で利用して見ると、色々な違いがあってなかなか興味深いものであります。
他の地域でのみちくさの行程には銭湯への入浴も入れてみてはいかがでしょうか。
その地域の人々の生活の一端を体験する事が出来、有意義な体験が出来ると思いますよ。
次回は実際に歩いた名古屋を中心とした中京圏のレトロ銭湯をご紹介したいと思います。

- まぁやぁ
- 銭湯と路地裏散歩な日々
- 銭湯wiki
- 1960年、東京生まれ埼玉育ち。現在は神奈川県藤沢市に在住。小さい頃は風呂屋のペンキ絵が描きかえられるのを心待ちにしていた子供でした。
現在は路地裏散歩と居酒屋徘徊を趣味としており、産業遺産ならぬ生活遺産に興味を抱き銭湯や古建物などを見て巡っております。
座右の銘は遠い温泉より近くの銭湯、かな。