
行政上の地名(町名)とは別に、古くから地域に根付いてきた俗地名がバス停に採用されている事例を、都内でもいくつか見ることができますが、そのひとつといえる世田谷区の「淡島」バス停を、今回はご紹介します。
渋谷駅を出発した若林折返所行きの東急バスは、道玄坂上から淡島通りに入り、10分少々で淡島に到着します。初めてこのバスを利用したときは、「次は淡島」のアナウンスに「アワシマって何?」と戸惑いました。沿線住民にはある程度馴染みある地名のようですが、世田谷区の行政上の地名としては過去にも現在にも淡島の名が存在したことはなく、古くからの俗地名が地域に定着している好事例といえるでしょう。世田谷区内では、バス停があることもあり、比較的知名度の高い俗地名かもしれません。

バス停の少し先で淡島通りを東西に横切る遊歩道は、北沢川の流路跡になります。北沢川は、桜上水付近を水源とし、世田谷区内の赤堤、代田、代沢を経て、三宿で烏山川と合流して目黒川となる河川ですが、都市河川の宿命として完全な暗渠化がなされた後、近年のせせらぎ復活事業により、人々の憩う緑道として生まれ変わりました。かつての小川のせせらぎを意識して整備された緑道は、すぐ足元をさらさらと透明な水が流れ、歩いていてとても心地よく感じます。暗渠の蓋の上に人工的に造られた河川であることなど、知らなければ全く気付かないかもしれません。
緑道には、かつての橋の一部も、形を残しています。淡島通りを渡す下代田橋から上流方向へ、福寿橋、山下橋、稲荷橋、一本橋、中下橋、代沢橋と続いています。
代沢橋から代沢小学校の脇を抜けていくと、正面の森が森厳寺です。この寺は、家康の次男で秀吉の養子となった結城中納言秀康の位牌所として、慶長13年(1608)に建立されました。開山の孫公和尚は紀州の生まれで、持病の腰痛が紀州加太淡島神のお告げによる灸治療で治癒したことから、ここに淡島神を勧請し、その後は代々住職が灸を施す寺として知られたといいます。この淡島神が淡島地名発祥の由来となり、灸の評判とともにその名が地域に定着するようになりました。

大きな「森厳寺」の扁額を掲げた山門をくぐると、木立に囲まれた境内はしんと静まり返っています。正面に見えるのが淡島堂で、本堂は右手奥に見えます。樹齢400年という一対の大イチョウも見応えがあります。ふいに子供の歌声が静けさを破り・・・、見れば境内奥には幼稚園が併設されています。歓声まじりの歌声を背景に、無形文化財の針供養の案内板などを見て過ごすひとときは、私のような散歩者にはとても贅沢な時間です。


バス停の少し先で淡島通りを東西に横切る遊歩道は、北沢川の流路跡になります。北沢川は、桜上水付近を水源とし、世田谷区内の赤堤、代田、代沢を経て、三宿で烏山川と合流して目黒川となる河川ですが、都市河川の宿命として完全な暗渠化がなされた後、近年のせせらぎ復活事業により、人々の憩う緑道として生まれ変わりました。かつての小川のせせらぎを意識して整備された緑道は、すぐ足元をさらさらと透明な水が流れ、歩いていてとても心地よく感じます。暗渠の蓋の上に人工的に造られた河川であることなど、知らなければ全く気付かないかもしれません。
緑道には、かつての橋の一部も、形を残しています。淡島通りを渡す下代田橋から上流方向へ、福寿橋、山下橋、稲荷橋、一本橋、中下橋、代沢橋と続いています。
代沢橋から代沢小学校の脇を抜けていくと、正面の森が森厳寺です。この寺は、家康の次男で秀吉の養子となった結城中納言秀康の位牌所として、慶長13年(1608)に建立されました。開山の孫公和尚は紀州の生まれで、持病の腰痛が紀州加太淡島神のお告げによる灸治療で治癒したことから、ここに淡島神を勧請し、その後は代々住職が灸を施す寺として知られたといいます。この淡島神が淡島地名発祥の由来となり、灸の評判とともにその名が地域に定着するようになりました。

大きな「森厳寺」の扁額を掲げた山門をくぐると、木立に囲まれた境内はしんと静まり返っています。正面に見えるのが淡島堂で、本堂は右手奥に見えます。樹齢400年という一対の大イチョウも見応えがあります。ふいに子供の歌声が静けさを破り・・・、見れば境内奥には幼稚園が併設されています。歓声まじりの歌声を背景に、無形文化財の針供養の案内板などを見て過ごすひとときは、私のような散歩者にはとても贅沢な時間です。

- 岩垣 顕
- 雑司が谷の杜から 東京再発見への誘い
- 1967年生まれ。坂、川、街道、地名、荷風など、様々な切り口で東京の街歩きを楽しむ散歩人。著書に、「歩いて楽しむ江戸東京旧街道めぐり (江戸・東京文庫)」「荷風片手に 東京・市川散歩」「荷風日和下駄読みあるき」など。

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