大谷石の石質が多孔質で柔らかく、表面が劣化しやすい、ということを前回ご紹介しましたが、みちくさ的には、むしろこの劣化した風合いを楽しみたいと思います。
上の写真は、ある住宅街の中で古い住宅同士が接しているところを撮影したものですが、左側の大谷石の壁のほうが表面の剥離が著しいことがわかります。
おそらく、左側の住宅の壁ができてしばらくした後に、右側の住宅が建てられたのではないかと推測しています。

大谷石の石壁については、表面の汚れのクリーニングや、削り直すことを専門にしている業者さんも多数いらっしゃいますので、そういった作業が入っている可能性もありますが、風合いを見て、年代を推測できるようになると、とても楽しいでしょうね。

また、私の見ている中では、より路面に近い部分の方が、剥離の進み具合が早い傾向があるように思います。大谷石は酸性雨の影響をとくに受けやすい石材のようですので、雨水の跳ね返りを受けやすい、路面に近い部分の劣化が早いのかもしれませんね。

ちなみに、比較的新しい大谷石の壁は、このような状態です。


これから家も人も年齢を重ねていくうちに、味わいが増して行くのですね。
表面の剥離が一段と進むと、石と石の間の、接着していた部材が表に出てくるようになります。



この壁の中にある建物は、昭和6年(1931年)創業の旅館ですので、壁もおそらくその当時のものかと思われます。
如何でしょう。コンクリートやブロック塀には無い、歴史の重みを感じませんか?
みなさんも、住宅街を歩いていて大谷石の壁を見つけたら、これは50年は経ってるなあ、などと想像してみてください。




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