町を歩いていて、喫茶店やカフェを偶然見かけ、気になる場合とさほど気にならない場合がある。
町を歩いていて、喫茶店やカフェを偶然見かけ、気になる場合とさほど気にならない場合がある。
そして、その場で入ってみる場合と入ってみない場合。そのときの時間的余裕や、コーヒーをいま飲みたいか飲みたくないか、そういった条件も重なってくるのだけど。
入らなかった場合、そのまま再びその町(近辺)へ行くまで思い出しもしない場合と、家に帰ってから、さらには一ヶ月、二カ月、半年経っても忘れられず、ああ、あのときちょっと無理をしても入って確かめておけばよかった、そう後悔する場合がある。

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喫茶店やカフェの場合、いくら佇まいがよくても、入ってみないと何もわからないからだ。
外観だけではそこが好みか好みでないかの、判断さえできない。
ヘッケルンは、そんな一番最後に書いたパターンの、最初に見かけたとき入らなかったことをいつまでも忘れられない店だった。

虎ノ門というとさほど私には縁のない町で、大学時代同じ写真部の友人と、なぜ虎ノ門まで行ったのかまでは覚えていないのだが、通りから大きく東京タワーが見えて、これはすごく近いだろうと歩いて行ったら結構遠かった。すっかり夜になってから到着したのだった。東京タワーってすごく大きいんだなと思った。そんな思い出くらいしかない。

時が過ぎ、2008年だったか、2007年の暮れだったか私は依頼を受けた取材をするために、虎ノ門へ行った。
別の店を取材した帰りちょっとしたみちくさで、大通りから一本入ったちょっと薄暗い路地に足を踏み入れ、この店を見つけた。このときのみちくさはここまで。店に魅かれたのだが、私は家路を急いだ。
結局やっと店へ入ることができたのは、すぐにまた虎ノ門へ来ればいい、そう思ってから2年ほど経った後だった。
思っていた通り、ジャンボプリンは美味しくて、マスターは生真面目にコーヒーを淹れていた。店はサラリーマン達の休息の場として、賑わっていた。

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そして私は、「新しく取材するならばここ」のリストの上のほうに、ヘッケルンの名を書いた。
私はプリンの味はもちろん、ビジュアルがとても好きだ。いつかプリンばかり登場する本が作れたらいいなと思うほど好き。
たぶん、私が店に入るまでいつまでも忘れられなかったのは、そのこじんまりとした店構えが好みだったのはもとより、『ジャンボプリン』の看板のせいだったのだと思う。

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前置きが長くなってしまったので、肝心のお店紹介は、後編で。
お楽しみに!