
石造蕃塀には、木造蕃塀を無理に真似した部分が存在する。例えば、屋根石の下にあるヒレみたいな妙な石材がある。
北名古屋市九ノ坪十所社の「蕃塀」
前回は、昭和55年に木造連子窓型蕃塀から石造連子窓型蕃塀に建て替えられたという事例を紹介した。その場合、木造であろうと石造であろうと、蕃塀は蕃塀なのだから、蕃塀の主要な特徴は共通した形に造られている。当然、中央に連子窓と呼ばれる透かしを持つ短塀という形は維持され、上半部は屋根、下半部は壁面を持つという大きな特徴は共通している。(左の写真は北名古屋市九ノ坪十所社の蕃塀、右の写真は春日井市牛山天神社の蕃塀)

しかし、だからといっても、やはり材質は違うから、それぞれの特徴が自然とでてきてしまう。例えば、石よりも木の方が圧倒的に軽いから、屋根は木造の方が大きくダイナミックに造られる。石造の場合は、上部を重くすると倒壊の恐れなどがあるので、むやみに大きな屋根を造ることは難しいだろう。逆に、石は木よりも風雨に強いので、長持ちはするし、その特徴をふまえ彫刻や文字が刻まれる場合が圧倒的に多い。
このように、石造蕃塀から木造蕃塀へ切り替える際には、向うが少し透けて見える短塀という特徴を維持しつつも、材の特質を生かした形が生み出されている、といえる。
しかし、実際にはそうとばかりいえないのが、蕃塀の奥深さだ。冒頭の写真を振り返ってみよう。両端の主柱(円柱)から屋根に接する部分に「耳たぶ」のような石材がはみ出ている。これは木造蕃塀の屋根板を支えるために主柱に差し込まれた「肘木(ひじき)」や「腕木(うでき)」を模倣したものだろうと思われる。木造蕃塀の場合、肘木や腕木は大きな屋根構造を保つための必要な部材である(下の写真)が、もともと屋根を小さく造る石造蕃塀にはほとんど役に立っていない。きっと「蕃塀には主柱からこういう部品がはみ出ている」というイメージが大切なのだろう。九ノ坪十所社の蕃塀の屋根をさらによく観察すると、木造蕃塀の屋根によく見られる段差まで表現されていることに気付く。
蕃塀の中で唯一国登録有形文化財に指定されている「岐阜県各務原市上ノ島神明神社の蕃塀」に至っては、木造蕃塀で屋根板そのものを直接支えている「垂木(たるき)」の雰囲気が、石を削って無理矢理表現されているのだ(下の写真の矢印部分)。
こうしたさまざまな特徴から、石造蕃塀は木造蕃塀を模倣したものと考えられるのである。 

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