街中にデンと構える銭湯、皆さんも一度くらいはご覧になった事があると思います。
普段意識せずに何気なく見ている銭湯も、よく見てみると色々と面白いんです。
地方、地域によっての文化や習慣の違いがよく表われていたりもします。
まずは今回、おおまかなビューポイントをご紹介しましょう。
まずは、銭湯とはどんなものか? その見どころは?
銭湯とは公衆浴場法に定める~云々なんてお話はここではいたしませんが、おおまかな定義として、ここで取り上げるのは銭湯、公衆浴場、いわゆる街のお風呂屋さんです。このごろ急増している、いわゆるスーパー銭湯や日帰り温泉施設などはこれには含まないことにします。
その呼び名は関東地方では銭湯、関西では風呂屋ということが多いようです。
この様な地域性については色々な特色があるので追々取り上げていきたいと思います。
銭湯の楽しみ方は色々です。
まずは気になった銭湯をみつけたら入ってみましょう。
その銭湯によってのビューポイントを発見、観賞しながら実際に入浴するという体験も出来るのが銭湯観賞の醍醐味。
まずは建物外観から。
上の写真は横浜市鶴見区にある「朝日湯」。
昔ながらのお風呂屋さんです。
このような寺社造りを摸した建築様式の風呂屋は主に関東地方を中心に多くみられる形式です。
また、中部、西日本など各地では洋風建築や町屋風の風呂屋などがみられ、その地域によって様式は様々です。
最近ではマンションなど集合建築物の1階にはいっているビル銭湯や、ミニスーパー銭湯ともいえるモダンな建物の銭湯も増えましたが、まだまだ伝統的な昔ながらの銭湯もたくさん営業されています。
また、この寺社様式銭湯はエントランス部に黒瓦の載った破風屋根を配し、さらに軒下には立派な懸魚(木彫りの細工物)がさげられている例も多く見られます。
写真は東京都台東区浅草にある「曙湯」の軒の懸魚。
立派な唐破風屋根に掛かる細かな細工の懸魚、躍動感のある鶴が2羽彫りこまれています。
また、入口に掛かる暖簾やたたきのタイル床、時として奥壁に見かける福助や宝船が描かれた九谷焼きのタイル絵も観賞ポイントです。
それではいよいよ中に入ってみましょう。
※ここでご注意。
ここは風呂屋ですから、デジカメなんかを取り出して撮影、なんてことはやめましょう。
携帯電話も時として誤解を受けることが多いですから操作は控えてください。
※ここに採用している写真は浴場側に許可を得て撮影したものです。
中に入ると脱衣場です。
ここでの見どころは寺社造り銭湯なら寺の本堂の様な木製格子の立派な様式の格天井。
また、洋風モダン建築銭湯などでは壁にレリーフ様の細工物が配されていたりもします。
その他にもえらく古い看板や貫目表示の残る体重計、今では中々見かけないレトロなマッサージ機などに遭遇する事もあります。
さて、次は浴室です。
もちろん浴槽と洗い場がメインの施設なのですが、ここにはビジュアル的な見どころが多く揃っている場合もあります。
これは東京都新宿区神楽坂の「熱海湯」。
奥壁には富士山のペンキ絵。
その下には鯉が泳ぐタイル絵、男女境壁にも山と湖のタイル絵があります。
この様なペンキ絵が描かれた銭湯は関東周辺に多く見られます。
地方ではタイル絵のみ、モザイクタイル絵のみ、または何も無しというのも多いようです。
さて、風呂からあがると脱衣場に隣接して坪庭があれば、ここも夕涼みがてら是非観賞したいものです。
この立派な庭があるのは東京都足立区千住元町の「タカラ湯」。
おそらく都内では1~2を争う立派なお庭の銭湯だと思います。
最近ではこのような庭を増床などで無くしてしまった銭湯も多いですが、まだまだ残している銭湯も多いようです。
次からはもっと細かな観賞点や地域性による文化の違いなど色々な点にスポットを当ててご紹介してゆきたいと思います。
皆さんも是非、お近くの銭湯にいらしてみてはいかがでしょうか?
- まぁやぁ
- 銭湯と路地裏散歩な日々
- 銭湯wiki
- 1960年、東京生まれ埼玉育ち。現在は神奈川県藤沢市に在住。小さい頃は風呂屋のペンキ絵が描きかえられるのを心待ちにしていた子供でした。
現在は路地裏散歩と居酒屋徘徊を趣味としており、産業遺産ならぬ生活遺産に興味を抱き銭湯や古建物などを見て巡っております。
座右の銘は遠い温泉より近くの銭湯、かな。